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最愛 【黒子のバスケ】

第20章 28


あたしなりのサプライズはちょっとタイミングが遅くて本当にすぐに文字が崩れてしまったけどお宿の人にも協力してもらえたお陰で初めてにしては成功だった…かな?


本当はお手紙でもいいかなって思ったけど恥ずかしかったから消えるようにして言いたいことは自分の口から伝えた。

残ってしまうとやっぱり恥ずかしい


入浴剤とオブラートで作ったメッセージなら読んでもらえるけど跡形もなく消えていく



「青峰君はお母さんがお父さんを説得したからアメリカに行かれたって言ってたけどそうじゃないんだよ。青峰君が寝る時間を削って、遊ぶ時間を削って努力して出した結果をお父さんが認めてくれたんだよ」


本当のことを知ってほしかった。

自分の努力がまだまだ足りないっていつも言ってる青峰君に、ここまでの道のりはすべて自分の努力でつかみ取ってきたものだってことを知ってほしかった


それにお母さんだって、聞かれなかったから言わないだけで別に隠してる訳じゃないって言ってたから、言ってもいいんじゃないかって思った


「そうなのか?つか、なんでそれをみさきが知ってんだよ」

「お母さんが教えてくれたから。自慢の息子だって言ってたよ」

「チッ…あのお喋り。ダセェ事いちいち教えんなよ」


全然ダサくない

あれだけの才能があっても努力を怠らないなんて誰にでもできることじゃないのに


ぎゅっと強く抱き着いて顔が見られないように押し付けて、少し心臓を落ち着けてから伝えたい言葉を吐き出した


「かっこいいよ。いっぱい努力して必死にやってるのってすっごくかっこいいって思うよ。だから、だいきは、誰よりもかっこいいの」

恥ずかしかったけど、今日はお誕生日だからいつもは言えない本当の気持ちをたくさん伝えたかった


あたしは青峰君に可愛いとか美人だって言ってもらうのがすごく嬉しいから


かっこいいっていつも思ってるってことを伝えたかった

バスケしてる時もそうじゃない時も、いつもいつもあたしにとって青峰君は最高にかっこいい男の人だよ


「お前にそう思ってもらえんの、すげぇ嬉しい」


抱きしめられた腕に力が入って思わず顔を上げると夕日に照らされた影があっという間に重なって一つの影になった


この影のように重なり合って本当に一つになれたらどれ程幸せなんだろうと考えずにはいられなかった
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