第20章 28
side青峰
みさきは今日が俺の誕生日だからって理由で運転までしてくれて都内のホテルに部屋を取ってくれてた
こんなことされんの初めてだな…
みさきといると初めてだって思うことが結構ある
女と付き合ってこなかった訳じゃねぇのにみさきに惚れてみさきとだけ過ごすようになってからの方が確実にいろんな経験をさせてもらってる。
部屋でチェックインを済ませると支払いはもう済んでるらしかった
こいつ…徹底して俺に何もさせねぇつもりだな
ホテルなのに靴を履かなくていい上に館内では用意された部屋着みてぇなので出歩くこともできる
リラックスして過ごすためだけに用意された空間って感じだった。
こういう雰囲気のホテルはアメリカにはねぇからすげぇいい
「すっげぇ落ち着く」
「わー!よかった‼ゆっくりしたいなって思ってたからここにしたの。お出かけもすごく楽しいけど、青峰君が日本にいるのってあとちょっとだけだから…二人でゆっくりしたいなって…」
あー……可愛い
自分で言って顔赤くして目逸らして
なんでそんな可愛い顔ばっかすんだよ
誰にも見せたくなくなる
LAに連れてっちまいたくなる
「すげぇ嬉しい。マジでありがとな」
「気に入ってもらえた…?」
「当たり前だろ」
俺を見て嬉しそうな顔をして笑うみさきを抱きしめると、みさきもすぐに腕を回してくれた
あーやべ…
誰に何を言われるよりもみさきに祝ってもらえることがめちゃくちゃ嬉しい
来年も再来年も…すげぇ爺さんになっても、みさきに誕生日を祝ってもらえる存在でいてぇ
二人でホテルの用意した部屋着に着替えて畳に寝転がってみさきの細い指を握るとみさきが笑って握り返してくれた
ホテルの部屋着は浴衣っぽくてみさきが俺に付けた跡は隠せねぇしみさきに付けたのもいくつか見えてるけど、マジで誰も来ねぇし誰にも会わねぇからみさきもそれ程気にしてねぇのか家にいるときと変わらねぇ
飯も作らせなくていいし片付けもさせなくていいのにゆっくり二人だけで過ごせる
自分の誕生日なんてただ歳を食うだけでNBAでの寿命が近づく嬉しくも何ともねぇ日だったのに、こんなに幸せな気分になれるなんてな…
まだまだやることだらけで引退はできねぇけどみさきがいてくれりゃ引退後も楽しそうだ