第20章 28
特別じゃないはずの日常が青峰君がいてくれるだけで特別な日に変わっていく
一人で眠るのが当たり前だった夜に暖かい体温を分けてくれる
「おやすみ」
「おやすみなさい」
大好きな人の声で一日を終えることができるなら、その日が楽しくない一日だったとしてもきっと眠る瞬間は幸せに満たされてる
楽しい一日の最後に大好きな人の声が聞けるなら次の日もきっといい日になるって思える
優しく引き寄せられてぴったりと嵌る体も何度も重なる唇も優しく絡まる指も…
ベッドにいるこの時だけは全部全部あたしの為にあるって思わせてほしい
「だいき…もっとぎゅして」
おやすみって言ったのにこんなこと言うのはわがままだって分かってるけど…もっとぎゅってして欲しい
フッと笑って腕に力を入れてくれて心地のいい圧迫感を感じてあたしも笑う
自分の腕にも力を入れて強く抱き着くと大きな手があたしを撫でて夢の世界に落ちそうなのに必死に抗った
どれだけお昼寝したってこの腕の中でこんな風にされたら幸せで瞼が重くなるの
まだ起きていたいのに…
重い瞼を持ち上げて少し上の大好きな人を見るとすごく優しい顔をしてて口元が少し笑ってる
シャープな顔立ちなのに目はすごく優しい
だからいつもは言われてから返す言葉を自分から言いたくなってしまった
「…すき」
「…ったく…可愛いことばっか言ってんじゃねぇよ…」
呆れたように小さく言って一瞬で重なった唇から熱い吐息が流れ込んできた
いつもあたしは伝えてもらったりしてもらったりすることの方が多くて…
でもあたしからもちゃんと伝えたい
大好きで幸せで感謝してますって伝わってほしい
それに大好きな人に可愛いって言われるのは嬉しかった
太くて温かい男らしい首に手を当ててもっとキスしてって伝わるように離れようとする青峰君に抵抗するとまたキスをしてくれた
立ってたら絶対にこんなにキスしていられないけどベッドならずっとずっとしていたい
おやすみって言ってからもうどれくらい経ったのか分からない
何度重ねてもすぐに欲しくなるぬくもりを求めて、もう瞼が持ち上がらなくなるまで数えきれないほどにキスをして眠った
あたし……
すごく幸せだよ