第19章 甘い時間
「ははは!黄瀬と黒須サンって全っ然似合ってねぇ。ネタかよ」
青峰君、目が笑ってない。
怖い
「っ……!ですよね‼黒須さんってそういうタイプじゃないですよね‼あははっ……」
「あぁ。黄瀬と黒須サンとか、天地がひっくり返ってもねぇ組み合わせだわ」
うん
あたしと黄瀬君は天地がひっくり返っても絶対にありえない。
「あ、やべぇ。ライアンが待ってる」
「そうでしたね。では失礼いたします」
荷物を自分で持っててよかった。
これで青峰君が荷物を持ってたら言い訳ができなかった。
スタッフさんに頭を下げて駐車場に行くと、ライアンが本当に車のところで待っていた。
ライアンは日本では運転ができないからハイヤーを使ってるけど、さっきの出来事の間に青峰君がスマホでライアンに駐車場で待つように連絡をしていたらしい。
念のためあたしは後部座席でライアンが助手席。
3人で車に乗り込んでスタジオを出るとやっと緊張から解放された。
『焦ったー…』
『ったく、あの女誰だよ。俺がみさきと帰ったっていいだろうが。仕事終わってんのに引き止めんじゃねぇよ。おい、ライアン!次から仕事受けるときはスタジオ以外で話しかけんなって条件付けとけ』
『無茶言うなよ。まぁ対策はする。個人的に連絡先を聞こうとするようなことがあればクレームは入れてやる』
青峰君もご機嫌斜めになっちゃうし
美緒…
黄瀬君と同じ現場なんてやだよね
あたしも青峰君と同じ現場ちょっとやだもん
仕事に集中するだけでも大変なのに怖い女の人いるし、連絡先聞き出してとか言われるし。
それに、黄瀬君と撮られたことを未だに蒸し返されて、いつもの10倍疲れた
プライベートのスマホを開くと3人のグループにさつきと美緒からメッセージが入ってる
(青峰さん色気ダダ漏らせてくれた?)
(大ちゃんどうせNG連発だったでしょ?)
二人に返信しつつあたしが聞きたかったことをメッセージした
(あたしの5000倍色気ありました。全カット1発OKです)
(ねぇねぇ、ちょっと聞きたいんだけど、もし付き合ってる人の連絡先を他の女の人に聞かれたらどうする?勝手に断るのってやっぱり束縛になる?)
メッセージを送ったと同時にホテルに到着してライアンを降ろすと、車内は二人っきりで何となく緊張した