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最愛 【黒子のバスケ】

第19章 甘い時間


「ねぇ、黒須さんって青峰さんと初仕事?」

「はい」

「連絡先とか、聞いてもらえない?撮影のあと控室でメイクオフするでしょ?」

「メイクオフはクライアントが希望すれば致しますが、そうでなければしないので、何とも言えません」


これは誰でもそう。
撮影が終われば即終わりの時とメイクオフするときがあってそれはいつだってクライアント次第。

「じゃあ休憩中とかでも…」

「申し訳ありません。クライアントに対して個人的なことを伺うことは致しておりません。不要なトラブルや誤解を招かないためにその様にしておりますので、申し訳ありませんがご了承お願いいたします」


黄瀬君との撮影では珍しくないことだったから即座に断ることはできたけど、今のあたしは確実に個人的な感情もあった。


「そこを何とか‼あたしたちだと直接接触できないし」

「申し訳ございませんが、プライベートなことをわたくしが聞き出すわけにはまいりません」


とにかくここでOKを出さない。
何度粘られてもとにかく断り続けるのは鉄則。

相手の話を遮ることはしなくてもOKは絶対にしない。


何度も“申し訳ありません”を繰り返して何とか諦めてもらったけど、立ち去り際にに文句を言われたのは普通に聞こえた。




“ほんと無愛想”

“ 黒須さんだけいつも独り占めじゃん”


そんな事言われ慣れてる。


だけど、今のあたしは、青峰君が他の人を好きになっちゃったらヤダって感情で断った部分も否定できない。


何となく後味が悪いけど、付き合ってる相手の連絡先を教えてもいいなんて人多分いない…よね?

それともこれってあたしの勝手な焼きもち?


分かんない…


自分の持つ感情が正常なのかそれとも束縛になるのか全然分からない。


取り敢えず今は仕事に集中しないといけないし、仕事終わったらさつきと美緒に聞いてみよ



気合を入れなおしてメイク道具を並べているとチェックを終えた青峰君がこっちに歩いてくる。



青峰大輝は今はあたしの恋人じゃなくてクライアント

彼を最大限引き出して読者に魅力を伝えるのがあたしの仕事

仕事はどんな時でも100%でこなす

それができないならメイクはできない



「チェックOKでしたか?」

「あぁ」

「お疲れ様です。次の撮影のための準備をさせてください」
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