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最愛 【黒子のバスケ】

第19章 甘い時間


恋はするものじゃなくて落ちるものだっていう人がいるけど、きっと本当にそう。


だって、突き落とされる時も、落とし穴に落ちるときも、自分の意志なんて全然関係なくあっという間に落ちていく

落ちたくないと思って何かにしがみつこうとしても気づいたらもう落ちてる


きっとあたしにはそれくらいの勢いがないと恋はできなかった


好きになってしまうって思った時はもうきっと好きになってた


「みさきは自分をモテないって言ってたけど、全然そんなことない。青峰さんを好きになってからのみさきってホント可愛いしすっごく女らしいよ」

「そうそう。だからもし誰かが接近してきて嫌って思ったらすぐにあたしでも美緒でもいいから言うんだよ?」


この二人はあたしをすごく理解して大切にしてくれる。

“みさきに幸せになって欲しい”って二人が言ってくれたことがずっとずっとあったかいまま心の中に残ってる


「ありがとう。でもほんとにモテるってタイプじゃないから…」


「「油断は禁物‼」」

「はい」


だって佐伯さんのことで何も起こらなかったのに、今だってこうやって守ってくれる。


「まぁ、大ちゃんを嫌になって他の人がいいってなっちゃったら、それはそれで全然しょうがないけどね」

「なっ!?…そんな事…」

「ないない。みさきだよ?さつきだって覚えてるでしょ。みさきの前のあだ名」


何それ?
全然聞いたことないけど
あたしすごい変なあだ名よくつけられるんだよね

ロボット、鉄仮面、能面、人形女…

LAの中高では、痩せてることとアジア系の血が混ざってるのを揶揄して、チョップスティック。

どれも結構悪口だと思う


「あー!懐かしい!覚えてる。テツコでしょ‼」

「何それ⁉」

「初志貫徹のテツコ」


全っ然可愛くない

初志貫徹ってのは悪口じゃないし嬉しいかもしれないけど、テツコはほんとに嬉しくない。

「なんでそんな変な名前つけるの⁉」

「だってさ、メイクブック出すときの新製品でみさきが妥協しなさ過ぎて、うちの商品部みんな死んでたもん。まぁ商品自体は爆売れしたから喜んでたけど」


だって、メイクに妥協は一切不要って人のところでずっとやってきたんだもん
何かを妥協してまで本を出す意味はなかった。

やるなら絶対妥協しない。


これはもう暗黙の了解なの




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