第19章 甘い時間
もうほんと、すっごい恥ずかしい
嫌とかそんなことは全っ然ないけどとにかく恥ずかしい。
キスマークを付けられるってことは、それだけ接近したってことだって青峰君に言われたけど、本当にそういうことだよね。
別にいけないことはしてないけど、やっぱり知られない方がありがたいって言うか…
「もう…ほんと吹き出物なの」
「はいはい」
絶対にバレてるって分かってるけど、小さく呟いてキッチンに戻ると二人とも笑って受け流してくれた。
髪なんて結ばなければよかった。
「けど、あたしは嬉しいかな」
「なんでよ…」
「だってさ、大ちゃんって今までこういうこと一切なかったから。大ちゃんにすごく大切な人ができて、その人も大ちゃんのことを大好きになってくれて、ほんと幼馴染としてちょー嬉しい」
リビングには聞こえないように、小さい声ですごくニコニコしながら言ってくれたさつきの言葉が嬉しくてくすぐったくてあたしも笑い返した。
「青峰さんのこと話してる時のみさきってホント可愛い顔するよね」
「それちょー分かる」
「そんなの全然分かんない。いつもと同じにしてるつもりだけど…」
自分的には全然分からない
恥ずかしいって思えば顔は熱くなって、赤くなってるんだろうなって自覚はあるけど表情はいつもと変わらないつもりで話してた
「すっごい幸せなんだなぁって見てて分かる」
「もー…なんかすっごい恥ずかしいんだけど」
「まぁ大ちゃんもそうだけどね。みさきのこと話してる時の大ちゃんってホント幸せそうなの」
「そうなの?でも青峰君がそう思ってくれてたらすごく嬉しいかな。あたしは今すごく幸せだから」
誰かを好きになるってことがずっとずっと怖かった
誰かに好きになられることはもっともっと怖かった
だけど青峰君に知り合って、自分ではどうしようもない程好きになって、お付き合いができて、あたしは今までの人生できっと今が一番幸せを感じてる
今までが幸せじゃなかった訳じゃない
だけど誰かを好きになって、その人に自分を好きになってもらえることがこれほど心を満たしてくれることだなんて、今までは知らなかった
青峰大輝って存在を知らなかった訳じゃないのに、実際にあの目が合う瞬間まではただのNBAの日本人選手って認識だったのに…
こんなに好きになるなんて
どうしてなんだろう