第19章 甘い時間
青峰君は自分がすっごく魅力があるんだって全然分かってない。
あたしの知ってる人の中で一番セクシーだと思うし、色気もフェロモンも尋常じゃない
それに加えて優しくてかっこよくてバスケに一生懸命で、もう全部全部ホントに大好き
今だって、背広を脱いで、腕のボタンを外して捲りあげられたワイシャツとちょっと緩めたネクタイが似合いすぎてて直視できない。
腕とか首とかっていう普段から見えるパーツでも、ちょっと服装が違うだけで物凄くドキドキする。
「しかも俺の恋愛観なんて別に面白くねぇだろ。知ってどーすんだよ」
「えー。あたしは知りたいな…」
だって青峰君の恋愛観を知れたら、どうやったら今よりも好きになってもらえるか知れそうだもん。
何でもかんでも青峰君の好みに合わせるってことはできないと思うけど、やっぱり好きって思ってもらえるところが多い方が嬉しい。
「なら教えてやる」
「え、今雑誌の内容言うのはダメだよ」
「もっとシンプルだ」
急にグッと距離を縮めておでこがくっつけられて、逃げ場がなくてどんどん熱くなっていく顔は絶対に気温のせいじゃない
「…見られてるっ」
近くの席の人や通りを歩く人たちは青峰君に気づいてるから自然と視線は集まる訳で…
また撮られたりしたらって思って少し距離を空けて座ってたのに、今はその距離がない
「俺はお前のことは隠さねぇ。顔も名前も絶対ぇ出させねぇけど、お前の存在は隠さねぇ。彼女がいるってことも、その女に心底惚れてるってことも隠さねぇ。俺の恋愛観はお前だ」
甘すぎる言葉に返す言葉もなくて、青峰君の目を見ると優しく笑ってくれてた。
「…お家戻りたい」
「あぁ」
二人になりたかった。
飲みかけのドリンクと食べかけのサラダラップを持って車に戻ると、車を出す前に触れるだけのキスをしてくれた。
マンションまで戻る間の赤信号でも何度もキスをした。
どうしてこんなに触れたくなるのか分からない。
青峰君に触れたところから全身に幸せが広がっていく
マンションに着いて玄関を閉めると同時にキスをして、ぴったり抱き合うと薄い布越しに体温が伝わってもっともっとキスがしたくなる。
玄関でこんなことするなんて…
「みさき…」
低くて甘い声が小さく名前を呼んで、おでこにも頬にも鼻にもたくさんのキスを降らせてくれる