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最愛 【黒子のバスケ】

第19章 甘い時間


「そうじゃねぇ。もっと重心を素早く移動させてバックステップと同時に跳ばねぇとすぐ詰められちまうだろ」

「パス回してかねぇと中途半端なとこで足止めされて終わりだぞ」


女子バスケ部と男子バスケ部、どっちの練習も見ながら弱いとこをピンポイントで教えてく。


「智也‼お前はオフェンスリバウンドが一番の仕事だろーが‼‼そこは絶対ぇ取らせんな!シューターの精神を安定させんのはお前だってことを自覚しろ。お前がそんなじゃ勝てねぇぞ!」

「ハイ!!」


さすがに高校生と俺とじゃ差は歴然だけど、NBAにきてぇならせめて日本で一番にはなっとかねぇと通用しねぇ。


「俺よりでかいんだから俺に押されんな!」

「ハイ‼」

厳しいことを言ってんのは分かってる。
でも、それでも楽しくてやりてぇって思うなら、自分の弱いとこをちゃんと理解して効率的に練習をすれば必ずうまくなる。


教えんのはうまくねぇかもしれねぇけど、真剣に聞くバスケ部の連中は可愛い後輩だと思えた。




3時間の練習を終えて、全員が集まって最後のあいさつになった。

「冬に結果を出してぇなら、個々で課題を見つけて自分に何が足りねぇのか、夏になんで負けたのかしっかり考えて練習しろ。ただ闇雲にやるんじゃなくて、自分の課題と目標をしっかり見定めてそれを徹底的にやれ」

【はい‼‼‼】

「今日はご指導いただきありがとうございました‼」

【ありがとうございました‼‼‼】


智也の声に続いて全員が挨拶をしてくれて今日の俺の仕事は終わった。


ライアンにごり押しされてやったけどやってよかった。


多分俺もNBAに入りてぇって思った時智也と同じ目をしてたんだと思う。

初心に返るってことはすげぇ大事なことだ。



「お疲れ。楽しかった」



寮でシャワーを借りてから学校を出ようとすると、生徒がすげぇ大勢待っててくれて、教師に下がるように言われてんのに全然いうこと聞かねぇから笑えた


“またきてー‼” “握手してー‼” “サインして‼”


バスケあんまり関係ねぇな

時間が許す限り手前の生徒たちにサインと握手をして、できるだけ質問に答える

「今シーズン開幕いつですか!?」

「10月23」

「火神大我と友達?」

「友達っちゃ友達だな」

「LA暑い?」

「CLよりはな」

「彼女見たいっ」

「ダメ」
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