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最愛 【黒子のバスケ】

第5章 色褪せない想い


大我と青峰さんを見送って車に戻ると、さっき起きた出来事が頭の中でずっとリピートされてた。



顔が熱くて火照るのは真夏の気温だからって訳じゃない。








びっくりした

まさか、あんな事言われるなんて思わなかったから。


けど、お友達だって思ってくれたのかなってちょっと嬉しかった。



ハグなんてすごくたくさんしてるのにやり方も分からなくなるくらい緊張して、距離も詰めずに手を広げちゃって…

あ、失敗したって思ったのに青峰さんがぎゅっと抱き寄せてくれた。


大我のハグよりも強い。

ぴったりとくっつくようなハグと、低くて優しくて…今までよりも甘い声がはっきりと耳に届いた。



なんて返していいか、言葉もうまく選べなくて、仕事のような返事になったあたしをもう一度強くぎゅっとしてゆっくり解放してくれた。



搭乗口に向かう二人を見えなくなるまで見送って車に戻ったけど、すぐに運転ができなくて、運転席に乗ってさっきまで青峰さんが乗ってた後部座席をルームミラー越しに見てた。



今まであたしは、青峰大輝って存在を大我と同じくらいにNBAに入った日本人って認識でしかなかった。


さつきの幼馴染だったことも、真太郎や黄瀬君とお友達だったことも知らなかった。


さつきが“大ちゃん”って言った時だってそれが青峰大輝を表す呼び方だなんて思いもしなかった。


目が合う瞬間までは本当にただの青峰大輝だったのに…


目が合ってからどうしようもなく頭から離れなくて、好きで会いたくて…


メディア媒体で知る彼とは全く別人に思えた


鋭いと思っていた瞳の奥は実は優しくて

低いと思っていた声は本当はすごく甘くて

感情が見えにくいと思っていた顔はプライベートならびっくりするほどよく笑う


メディアで知る彼と違わないのはバスケがすごく好きってところだけだった



何の媒体も通さずあたしの前に突然現れた青峰大輝って人は、一瞬であたしの心の中に入ってきた。


どうしようもない程、必死に振り払っても抗えない程。


一瞬で心の奥まで入ってきた。



あたしは青峰さんが







すき







大我に手伝ってもらってやっと認めた気持ちを、今あたしは自分の意志だけで認めた。



もう逃げられない。
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