第19章 甘い時間
今なら話せるか…
人気のねぇ解放された公園でネロの散歩をしながら俺のことを話した。
中学で入ったバスケ部であいつらとテツと一緒になったこと
最初は楽しくてしょうがなかったバスケが周りと差が開くことで練習の意味が分からなくなったこと
練習をサボる俺をテツが助けてくれたこと
それでも自分が周りとは違うと思い知らされたこと
たけど、バスケをやめるってことだけはどうしても選べなかったこと
そして3年の全中で相手チームにしたこと。
テツがそれが原因でバスケをやめて学校にも来なくなったこと
それに気づいていながら、俺はテツに何もしなかったこと
俺がスカウトに来る高校に出した条件
それでも負けなかったこと
みさきは黙って何も言わずずっと俺の手を握ったまま止まることなく歩いて聞いてくれた。
「けど…負けた。WCで火神に負けた。そっからは練習もすげぇ楽しかった。火神がNBA目指すって渡米した時すげぇ悔しかった。実力は俺が上なのになんで俺じゃなくあいつなのか、自分に何が足んねぇのかすげぇ考えた。自分も行きてぇって親父に言って反対されて、お袋に言われていろんな奴の力借りて火神から1年遅れでフロリダに留学した」
自分のことを話してみさきに軽蔑されんのが怖かった。
いつも必死にやってきたみさきとは正反対な自分を消し去りたくなった。
だけど、隠してて、他の奴からこの事をみさきの耳に入れるのは嫌だった。
俺のことは俺自身で伝えなきゃ意味がねぇ。
みさきだってそうしてくれたんだから尚更そうだと思った
「いっぱい努力したってお母さんから聞いたよ。あたしね、どんな才能も努力には勝てないって思ってる。才能が開花したのは青峰君が努力した結果。才能があっても努力しなきゃそれは開花しない。なんでもそうだけど、すごい人が出てくると“選ばれた人間だ”っていう人がいるでしょ?あたし、あの言葉好きじゃない。選んでもらったんじゃない、その人自身が勝ち取ってきたの。だから青峰君も自分で才能を開花させたんだよ。勝手に開花したんじゃない」
努力してきた奴の言葉は重い。
俺は才能を開花させたって意識は薄かった。
才能のねぇ奴を羨ましいと思うこともあった。
けど今はこのギフトに感謝してる。
そしてみさきの言ってくれた言葉でバスケをもっと頑張ろうと思えた