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最愛 【黒子のバスケ】

第18章 劣等感


ハイヤーの話からこんな話になるなんて思ってもいなかった。

みさきは何でも自分で手に入れてきた。
努力して努力して努力して今の仕事と信頼と技術と収入を自分の力だけで勝ち取ってきた。

だからすげぇ強い。
甘えることができねぇくらいに強くなりすぎた。


そういう芯のある強いとこに惚れたのもあるけど、もうそんなに強くなくていい


甘えたり頼ったりして弱いとこだってあっていい。
それにみさきが何もできねぇなんて思ってねぇ


「俺はそうは思わねぇ。けがが治せなくてもバスケが詳しくなくてもお前が何もできねぇって事にはならねぇだろ。俺が強くなりてぇと思うのはお前に選んでもらいてぇからで、俺がお前に何かを贈るのはお前に使ってほしいからだ。全部俺がやりてぇからやってる。負担なんて感じたことねぇ」


「だけど…こんなの対等じゃない」

「対等じゃなくていいに決まってんだろ。今まで散々辛い思いしてきたお前が、少しくれぇいい思いしなきゃ人生帳尻合わねぇだろ。他の奴に傷つけられた分俺が甘やかして何が悪りぃんだよ。好きな女に、自分ができることをしてぇと思うのは当たり前のことだろ?」


俺にだってできねぇことはあるし、みさきが欲しくても手に入れられねぇものも多分ある

だけどできることはなんだってやる。

それにみさきが俺にくれた時計はあのバッグより遥かに高い。

みさきは手に入れられる力があっても買ってなかっただけで買えねぇから買わなかった訳じゃねぇんだから別に分不相応なものを贈ったつもりはねぇ。


いつだって必死に頑張ってきたんだから周りの奴よりいいもの持っていい生活したって別に誰にも批判する権利なんてねぇ


「どうして…そんなに優しいの…?」

「優しくねぇよ。俺はすっげぇ自分勝手だぜ」

「勝手なのはあたしだよ。いっぱいしてもらってるくせに、つり合えない自分が悪いのに…それを青峰君ぶつけてる」

いっぱいしてもらってるなんて言われるほどやっちゃいねぇし釣り合ってねぇのは俺の方だろ
こいつと並ぶには俺はまだまだ努力が足りてねぇ


「言いたいことは何でも言え。思ったことも感じたことも、お前のことは全部知りてぇから隠すな」

「じゃあ、青峰君もそうしてくれる?」

「あぁ」

「約束だよ」

「分かってる。だから今から言うことよく聞いとけよ」
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