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最愛 【黒子のバスケ】

第18章 劣等感


「俺はいつも一緒にいてやれねぇし、連絡だって取れるときとそうじゃねぇときがある。それはお前が何かで恐怖を感じた時でも変えられねぇ。認めたくねぇけど、俺とお前の距離じゃ俺だけでお前を守り切ることはできねぇ。だから少しでもお前を安全な環境に置いときてぇ。すげぇ窮屈に感じるかもしれねぇけど…お前が傷つくのだけはどうしても避けてぇ。だから俺がいない時で自分でも運転できねぇときは頼むからこっち使え。俺を安心させるためにそうしてくれ」


強く抱きしめられてそんな頼む様に言われてしまえば断ることなんてできない。

それに…きっとあたしの為なのにあたしに気を使わせないためにそう言ってくれてる青峰君に心配をかけさせることはしたくなかった。


「うん…あの…ありがとう」

「俺のわがままなんだからありがとうはおかしいだろ」


わがままなんかじゃない。
こんなに大切にしてもらってありがとうって言わない方がおかしい。


「でもありがとうって思うの。ちゃんと費用はこっちに回してね」

「無理。俺がやりたくてやんのになんで費用お前が持つんだよ。おかしいだろ」

あたしのタクシーの使用頻度は結構高い上にすごいランダムでハイヤーでいつでも呼べる契約なんてしたら基本料だって安くはないし使えばそれにプラスで加算されていくんだから…


「だって…あたし寝不足とかでタクシー使ってるんだよ。多い時はっ…」

「毎日使ったって別にいい。とにかく俺はお前に安全で安心な方法をとってもらいてぇ。大事なもん守るのに自分が動けねぇならいくらかかろうがそれは俺が出す。一緒にいられねぇ時間が多いんだからそれくらいさせろよ」


「じゃあ…あたしが青峰君にできることって何?あたし何にもできない。青峰君がけがしても治してあげられるわけじゃないし、バスケのこと詳しい訳でもないし、強くすることができる訳でもない。青峰君の贈り物に対等なお返しができる程財力もない。……負担になりたくないの」


こんなにしてもらって嬉しい反面、自分がとんでもなく無力で何もできなくて他の人の方がいいんじゃないかって思えてきてものすごい劣等感を感じた。


対等でいたいのに、してもらってばっかの自分が嫌だった。
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