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最愛 【黒子のバスケ】

第18章 劣等感


すっかり蒸発しきって水のなくなったヤカンにもう一度お水を入れて沸かし直す間に、もらったバッグをウォークインのバッグの並べてある棚に置いた。

パットにもらったヒールとこのバッグを一緒に持てたらすごく素敵。
凝ったコーディネートとかはできないけどこのバッグとヒールがあれば、あと必要なのはそれを身に着けるのにふさわしい人間であることだけ



これが似合う人になろう


贈ってくれた人の気持ちを無駄にしないように、贈って正解だったと思ってもらえるように、折れそうになったときはみんなに退院をお祝いしてもらったことを思い出せばリハビリは頑張れる気がした。



少しの間眺めてから電気を消してリビングに戻った。


紅茶をステンレスフィルターで淹れて今日はセンターテーブルに置いた。


カップはもちろんあのFBIの巨大マグ。

色気のかけらもない



だけど中身は最高だもん。


お店併設のカフェで飲んだけどすごく甘い香りなのに飲み口はすっきりしてて朝でも夜でも楽しめる。


「すげぇいい匂いだな」

「そうなの。香りはつけてあるんだけど、茶葉自体も甘めの香りなの」

色も普通の紅茶よりも薄い黄金の色で、薄そうに見えるけどしっかりと味があって渋みはない。


二人で並んで座って一緒に飲むと、ここが自分のマンションとは思えない程贅沢な気持ちになれた。


この間来てくれた時はこんな風にぴったりとくっつくことはできなかった。
だけど今はぴったりくっついて座れて、青峰君の腕がずっと腰にあってあったかくて幸せで…

たまにしてくれるキスは、甘い香りといつもよりも温度の高い青峰君の唇でとろけてしまいそうになる


おでこ、頬、鼻、唇に何度も何度もキスをして指を絡ませて、あたしを抱きしめてくれる腕に力が籠っていく



たまに触られる耳がくすぐったいような、痺れるような不思議な感覚でゾクゾクするのに嫌じゃなくて…


「細せぇ腰…」


たまに小さく囁くような声が耳に届いて、感じたことのない感覚に陥ってぼーっとしてる間に重なる唇



「んっ…」


もっと…

離れないで


眠くなんてないのに瞼が重くて触れてるところが熱くて…離れたくない。


胸板のTシャツをぎゅっとすると、少し離れたけど目が合ったら迷わずにもう一度キスをしてくれた
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