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最愛 【黒子のバスケ】

第18章 劣等感



さっきみさきがバッグを持った時、イメージ通りすげぇ似合ってて、手に入れるのに時間はかかったけどこれにして正解だった。


きっと今みさきが泣いてんのは悪い意味じゃねぇ。


「あたし…こっちに戻りたくないって一瞬考えた。大我のママといた場所が心地よかったの。でも今の方が、すごく幸せです」

俺はみさきに幸せだって思ってもらえることが幸せだった。

「好きな人の幸せが自分の幸せ」って言葉をどっかで聞いたとき、意味分かんねぇって思ってたけど、今ならわかる。


みさきが幸せなことが俺にとって一番幸せで重要だった


「俺もお前を抱きしめてる時が一番幸せだ…愛してる」


言葉が返ってくることはなかったけどさらに力が込められた腕と、揺れる華奢な肩、漏れる嗚咽がみさきの返事だって思えた。


女に泣かれんのがこんなに嬉しい時があるなんて今まで知らなかった

俺はみさきといることでいろんな感情を知ることができる。


「あたし…多分一生かかってもお返ししきれないと思うの。でもずっとずっと大事にするからっ…」

「これはお前が生きててくれたことへのお返しなんだから、そんな事考えんな。気に入ったか?」


「すごく気に入りました。ありがとう」


やっと顔上げた。

目真っ赤でウルウルでまつげが涙でびしょ濡れで、鼻が赤くてすげぇ可愛い。

しかもみさきは泣くとなぜか唇が赤くぷっくりしてそれがめちゃくちゃ色っぽい。


いつもより少し腫れた唇にキスをすると、手術前と同じように背伸びして俺の首に手を回して何度も何度もキスをした。


俺が離れて近づかなくても唇が触れたのは、みさきが自分からキスをしてくれたからで、それがめちゃくちゃ嬉しかった。


どれくらいキスを繰り返したか分からねぇ。


キッチンから聞こえた警告音でお互い目を開けて、キスしたままばっちり目が合って、みさきが真っ赤になって俺から離れてパタパタ小走りでキッチンに駆け込んだ。



「お水なくなっちゃった…」

「みてぇだな」

「うん。青峰君は何飲みたい?」

「お前と同じの」


みさきの好みを少しでも多く知りてぇ


「今日のはね、イモータルモーメントティーだよ」


すげぇいい名前。

味は飲まねぇと何とも言えねぇけど、みさきの選んだ紅茶の名前に今の瞬間がぴったり重なった

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