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最愛 【黒子のバスケ】

第18章 劣等感


さっきまでなかったそれにあまりに驚いて立ち尽くしてると、青峰君があたしの手を引いてソファに座らせてくれた。

「あいつらに先越されちまったけど、これは俺からの退院と帰国祝い。手術お疲れ」


どうしよう…

嬉しい時ってなんていうの?


どうして言葉より涙が出るんだろ…


「泣くなよ…」

「びっくりして…っ…その…なんで、それ…」

あたし何言ってるんだろう
日本語忘れちゃったのかな


「お前に似合うと思った」

「開けても…いいですか?」

「あぁ」



ソファからラグに降りて、大きな袋から大きな箱を取り出すと、あの時と同じようにリボンがかかっててそれを解く度に心拍数が上がっていく。


蓋を開けて中の布の袋に手をかけて開けると、中には真っ白な牛皮とゴールドの金具


袋から取り出すと全体が見えてプライベートで使うのに打ってつけのサイズだった。


「…本当に…もらっていいの?」

「お前の名前入ってんだからお前しか使えねぇだろ」

「え?」

このバッグにそんなことができるなんて知らなかったし、ママが持ってるのにも別にママの名前が入ってる訳じゃないから、名前が入ってるなんて思いもしなかった。


「その金具のとこ」

そう言われて金具を見ると確かにあたしの名前が彫られてる。

しかもそれはフルネームだった。


「ちゃんと合ってるか?」

「あってます…」

「じゃあお前のだ」


どうしてこの人はこんなにかっこいいことばっかりするの?

あたしが手術前に知った自分のフルネームの意味。
図ったかのようにそれが彫られたバッグを退院祝いだって贈ってくれた青峰君には、ありがとうなんて言葉では言い表せないくらいの感謝が溢れて、どうしようもないくらい嬉しくて幸せで…どうしたら気持ちを伝えられるのか分からなかった。



バッグをテーブルに置いて、お湯が沸いてるのも無視して青峰君に強く抱き着いた。



「ありがとう。なんて言っていいのか分からないけど、すごく感謝してます」

「俺はみさきが生きててくれたことにすげぇ感謝してる。ただの物なんかじゃ伝えられねぇけど、みさきとこの先一緒にいられることを俺はすげぇ嬉しいって思ってる」


あたしよりもずっと強く抱きしめ返してくれる青峰君の言葉に、一回止まった涙がまた溢れた。


ただの物なんかじゃない。
これは気持ちなの
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