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最愛 【黒子のバスケ】

第18章 劣等感


ウトウトしていまにも寝そうなみさきは律儀にも降りようとするから止めた。

「車にいろ」

「でも…ネロ君の荷物あるなら手伝う」

「そんなん沢山ねぇから寝てろ」


眉を下げて小さく謝るみさきを車に残して家に入ると珍しく親父が帰ってる。

「おう。肘どうだ」

「若干遅れたけどプレマッチには間に合うな」

「今日からネロ連れて泊りだろ」

「あぁ。もう行く」

「彼女に迷惑かけるなよ」

お袋だな…
ったく…

「あぁ。…そのうち連れてくる」

親にこんなこと言うなんて初めてだった。
だけど俺はみさきしかいねぇから、みさきがいいって思ってくれたら連れてくる。

「どんな相手だ?」

「…火神の幼馴染で同い年。LA育ちで23でこっち来てから黄瀬とか色んなげーのーじんのメイクしてて、よく雑誌とかでメイクの特集組まれてる」

どんなとか聞かれてもざっくり過ぎてよく分かんねぇから、分かりやすく特徴のあるとこだけ答えた。

「名前は?」

「黒須 ノヴェンブレ・ケイトリン・みさき」

「ハーフか?」

「いや、イタリア系アメリカ人のクオーター」

「大事にしろよ」


なんだそりゃ。そんなん言われたの初めてだな

いつもなら、電話のついでにゴシップのこと聞かれて、相手はどんな人間かとか聞かれて職業を答えると「ちゃんと見極めろよ」とか言われてた。

だから今日もそう言われんのかと思ってたのに、色々聞いた挙句大事にしろって…
親父って読めねぇわ。

「あぁ。今日こっち戻ったばっかで疲れて車で寝ちまってるからもう行くわ」

「運転気を付けろよ」

ネロをリードに繋いで荷物とみさきの退院祝いをもって家を出た。

なんにも用意してねぇ訳ねぇだろ。


車に戻るとすっかり眠ってるみさきの匂いをネロが確かめてる。

『起こすなよ。疲れてんだ』

ネロを後ろの席に伏せさせて車を出すと10分もかからずにみさきのマンションに到着した。


エンジンを切ったところで何故かネロが吠えたせいで、みさきがすっげぇ驚いて目を覚ました。


『なんだよ。無駄吠えすんな』

「ごめん。あたしすっごい寝てた」

「いいって。ごめんな。驚いただろ」


少し体を伸ばしたみさきにネロの荷物を頼んで、エントランスからエレベーターに入るのを見届けてから、ネロのトイレだけ済ませるために少し周りを歩き回らせた。
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