第18章 劣等感
キャリーの中身を片付け終わって夕方少し涼しくなってから二人で買い物に出かけた。
青峰君が使うお茶碗とおわんとお箸を選んでるとあたしもおんなじのが欲しくなってきちゃう。
でも今使ってるのまだまだ全然使えるし…
でもお箸なら…
うーん…
やっぱやめよ。
だってまだ使えるのにもったいないもん。
しかも長居はできない。
青峰君に気づいてる人が何人かいて明らかにさっきよりも周りに人が増えてきた。
東京では有名人はたまに歩いてるしすごく珍しいってことではないけど、いつも海外にいる人気選手ってなるとちょっと違う…
前に大我と出かけたら、あたしが化粧品選んでる間に大我はファンに囲まれて警備員が出動したこともあった。
それに許可なくカメラを向ける人も少なくない。
個人的に楽しむならまだしも今はすぐにSNSに上がって拡散される。
ミラノから帰った時の空港での写真も、あの場に居合わせた人が撮ってSNSに上がって結局アメリカまで流れてきたんだからSNSの拡散力は怖すぎる。
とにかくあたしは絶対に顔を撮られたくない。
キャップを深くかぶりなおしてサングラスをすると青峰君がぎゅって手を握ってくれた。
「決まったからもう行くか」
「うん」
ゆっくりしか歩けないあたしに歩幅を合わせてくれながら手をそっと放して腰に手を添えてくれた。
「あ、マグカップ買ってない」
「FBIの貸せよ(笑)あれすげぇいい」
確かにあれはたくさん入っていいけど可愛さ皆無。
海外ブランドが出してるペアマグとかかわいいし、買っておけばよかった。
あ…でも青峰君があのリボンの可愛いの使ってたらちょっと似合わないか…
それに、あたしもいっぱい入る方がやっぱりいい。
「じゃああのマグカップ1個青峰君の専用にしよ」
「いいのかよ」
「もちろん!」
あのマグは大きすぎるせいかさつきも美緒も使わないし大我も使ってない。
何故か二つくれたけど結局1個しか使ってなかったからちょうどいいのかも。
食材のお買い物を済ませて一度マンションに戻ってから、帰国したことをみんなに連絡してから少し早いけど夕食を食べるために出かけた。
久しぶりの日本だから和食が食べたくて初めて一緒にご飯を食べたお寿司屋さんに行くことにした。