第18章 劣等感
痛い…
ざらざらのベロがあたしを舐めてる。
いつもはそんなことしないセルジオがあたしの指に舌をこすりつけるように舐めてくるから痛くて目が覚めた。
外はもう明るくて時計を見るとそろそろ起きる時間には変わりない。
セルジオを抱っこすると昨日の寂しそうな目とは打って変わって“起こしってやったんだから感謝しろよ”って顔であたしを見てる。
「起こしてくれてありがと。あたしが青峰君に会いたいって分かるの?」
何も答えないセルジオに起こしてくれたご褒美のかつお節をあげると喜んで食べててざらざらのベロが手のひらに当たってくすぐったい。
3回目のお代わりを上げたところで玄関の開く音が聞こえて大我とハンナの声が聞こえた。
『もう!ぎりぎりじゃない』
『しょうがねぇじゃん。あー行きたくねぇ。つか1本くらい遅らせてもよくね?』
『ミサキがダイキに会うのがおそくなったら可哀想よ…』
『これから3週間以上一緒にいんだからいいんだよ。3週間もハンナに会えねぇ俺の方が可哀想だろ』
……よくもまぁそんなことを恥ずかしげもなく言えるわね…
しかもあたしはこの先もずっと遠距離だけど大我は一緒に暮らせるんだから今日はあたしに合わせてほしいんだけど。
別に大我が遅らせてもあたしは先に帰るけど。
だって早く会いたいもん。
リビングに入ってきた二人は昨日のドレスアップとは違っておそろいのジャージとキャップだったけど似合ってるし結構可愛くて羨ましかったりする…
『お帰り。それ、すごい似合ってる』
『ありがと。これ、昨日のお礼。ダイキと着て』
そう言ってハンナが渡してくれたのは二人が来てるジャージと同じところのショッパーでおそろいのジャージが入ってる。
あたしが青峰君とお揃いの着ても背が違いすぎて絶対違うものにしか見えないけどすっごく嬉しい
『ありがとう!』
『ダイキは黒でミサキが白ね』
ハンナはピンクで大我はグレーで4人ともデザインは同じだった。
お家で一緒に着てくれたら嬉しいな…
もらったジャージもキャリーに入れて帽子はかぶっていくことにして空港に行く準備を始めた。