第18章 劣等感
大我にパパからの伝言と“ごゆっくり”って返信をすると既読がついてそれからは返信は来なかった。
ママの手にクリームをたっぷり塗ってマッサージをしてパラフィンパックで潤いを閉じ込めた。
すっかり眠ってるママはきっとパパの夢でも見てるのかニコニコ笑ってる。
カラーは塗らないけど甘皮と爪周りのお手入れもしてママの部屋を出た。
寝る用意を済ませて自分の部屋に戻るとあたしのキャリーの上でセルジオが座っててきっとあたしが明日帰国することを勘付いてる
少し寂しそうな目をしてるけど呼ぶとすぐにあたしの膝に来てくれた
「セルジオ、心配かけちゃってごめんね。明日からまた留守になるんだけど9月にまた来るからね。今度はちゃんとご飯食べるんだからね」
セルジオは8歳。
大我がシカゴに行く直前に拾った元捨て猫。
5匹もいてどうしようって思ったけど残りの4匹は大我のプレップスクールのチームメイトとBOSSの知り合いが引き取ってくれて、今もみんな元気にしてるらしい。
大我のいない寂しさを埋めてくれて、食事もとらずにいたあたしに毎日静かに寄り添ってくれた大切な存在。
健康だし元気だけどもうおじちゃんになってきてる。
背中を撫でるとゴロゴロ喉を鳴らしてかすれた声で鳴くセルジオを日本に連れて帰りたい。
だけどあたしの仕事柄きっと寂しい思いをさせてしまう。
ママとおばあちゃんがいて暖かいLAの方がきっとセルジオには幸せな環境なんだと思う。
「おやついっぱい買ったからママにもらってね。いない間に勝手に食べるのはダメなんだからね」
一緒にベッドに入ってお腹のあたりに丸くなるセルジオの温度であたしもだんだん眠くなってきた。
起きたら飛行機に乗ってそしたら10時間で大好きな人に会える。
これからリハビリもあるし仕事もまだ完全にはできないから不安なことはたくさんあるのに、とにかく今は青峰君に会いたいって気持ちが一番大きかった