第18章 劣等感
ハンナに呼ばれて支度の部屋に戻ると少しハンナの髪が乱れてて、一体何をしたのかと思えば首にはキスマーク。
まったくもー…
ホントしょうがないんだから。
チラリと大我をにらむと目を逸らしてバツの悪そうな顔をしてる。
だけど大我の服装はしっかりと整えられていて予想通りハンナが綺麗にやってくれていた。
ドレッサーに座るハンナの髪をしっかりセットしなおして首の跡を隠そうとコンシーラーを手に取った。
『隠す必要ねぇだろ』
『何言ってるの⁉プレスもいるでしょ』
パパにジェシカのことをやってもらってはいるけど、より長い刑にするためにはもっと証拠や証言が必要になるから、ジェシカ側に動いてることを悟らせない目的もあって完全非公開で外堀を固めてる真っ只中。
つまりまだジェシカは自由の身でいる訳で、たくさんのプレスが来る有名バッシュメーカーのレセプションならその情報は確実にジェシカも入手する。
会場内にいるプレスはパパラッチと違って悪質ではないけど、個人的にパパラッチと結託して、お金をもらってパーティーの写真を流してる人がいるっていうのを教えてくれたクライアントがいた。
その人はNFLの旦那さんとの結婚指輪を外していたところをフォーカスされて離婚間際だって根も葉もない噂を立てられた。
結婚指輪を外した本当の理由はただの手荒れ
全くのガセネタなのにさも真実かのように書き立てられたらしい。
あたしは全然セレブじゃないから全く関係ないけど、パパラッチが求めてるのは大体がセレブたちの恋愛沙汰。
大我はNBAの人気選手だから当然セレブな訳で…
大我はプライベートを撮られるのが大っ嫌いでそれの対策専門に人を雇ってる。
万が一撮られても絶対に出回らないようにしてくれるらしく、どうやってるのかは怖いから聞いてないけど、危ない人たちって事ではない。
だけどレセプションはプライベートじゃなくて公式。
もしそういう人がいてハンナの写真が出回ったら…
きっとプレスだって堂々と見えるキスマークを見落とすほど節穴じゃない。
それがフォーカスされればジェシカは絶対に何かしてくる。
『プレスには見えねぇし、俺はハンナのことを隠すつもりはねぇ』
全く…
プライベートが出回らないからって暢気に構えてんじゃないわよ。