• テキストサイズ

最愛 【黒子のバスケ】

第18章 劣等感


side泉

自分の経験したことは思い出すことも辛くてずっと話さずにいた。


結婚して二人の時間を楽しんだ後望めば子供はすぐに授かれると思っていた。


生理痛が酷くて何度も母に病院に行くように言われていたけど自分には必要ないと勝手に決めつけていた。
そして思い知らされた。


だからみさきには生理が始まった時から無理やり病院に連れて行って定期的に検査を受けさせていた。
元々あの検査を好きなんて人はいないと思うけどみさきはあのことがあった以降、検査の度にひどく泣いて嫌がって部屋に鍵をかけて籠城したこともあった。

だけど、もし子供を持ちたいと思った時あたしと同じ経験をさせるくらいなら今ここで嫌われてでも検査を受けさせたかった。

恋愛をする気のないみさきに将来の子供の話をしたところで自分には関係ないって突っぱねて余計にこじらせることは分かっていた。
だからずっと言わなかった。


検査を終えて家のトイレにこもって嘔吐するみさきに心が痛まなかったわけではない。
だけどなんて言ってあげればいいのか分からなかった。
あんなことをされたのだからそういう経験のない人間が「ただの検査なんだから我慢しなさい」なんて口が裂けても言えなかった


今回の手術の出血が原因で慢性的な貧血は避けられないと医者から説明を受けた上で生理の出血をコントロールするためにピルを勧められたみさきが3か月に一度の検診の話を聞いた瞬間顔を強張らせてピルを断った理由は明白だった。


私としては飲んでほしかったけど、記憶も抜けててこれから骨折と手術の傷を治したうえでリハビリを控えてるみさきにこれ以上の負担を強いることは酷でいろんなことが落ち着いてからもう一度ピルのことを考えるように言うつもりだった。

だけど生理が来て貧血を起こしたことで自分からピルのことを考え直すって言ってくれた。

正直ホッとした。



検査前明らかに怖がって顔色の悪いみさきに自分のことを話すと聞き終わったとき複雑そうな顔だったけど顔色はマシになっていて私の気持ちを僅かでも感じ取ってくれている様子だった。


大輝君とお付き合いを始めたことで自分にもいつか子供を望む時が来る可能性を感じたのかもしれない。

この先二人がどんな風になっていくのかは分からない。
だけど司に聞いた大輝君の気持ちは親としてこの上なく嬉しいものだった
/ 1719ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp