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最愛 【黒子のバスケ】

第18章 劣等感


『それじゃぁ始めるけど、怖かったり痛かったりしたら遠慮なく言って頂戴ね。脚を閉じると傷つけてしまうから頑張って開いていられる?』

『…はい』


正直それが一番苦手。
だけどこれは検査だから怖いことは起きないって自分に言い聞かせたし先生の顔が見えることでいつもよりは怖いって感じがしなかった。


『じゃあまず仰向けで膝を立てて、ベッドの両端に土踏まずを当てて土踏まずを動かさないように集中して』


言われた通りベッドに仰向けになるとバスタオルよりも大きな布を持った看護師さんが足首まですっぽりと隠すようにかけてくれた。


ゆっくりと膝を立ててベッドの両サイドに土踏まずを当てた。

明らかに動きの遅いあたしを触ったり急かしたりせず何も言わずに待ってくれた。


『念のためナースが足の甲を軽く抑えるけど大丈夫?』

『はい』


先生と一緒に来た二人の看護師さんがあたしの足の甲を抑えてくれたけど本当に触られてる程度で押さえつけられるような恐怖は全くなかった。



『少し冷たいけど、すぐに終わるわ。ゆっくり深呼吸して、怖いと思ったら、土踏まずに集中するの。それでも怖くなってしまったら中指と人差し指をクロスさせて交互にそれを組み替えて。そうしてるうちに終わるわ』

『はい』

『じゃあ失礼するわね』


そう言って少しだけめくられた裾から空気が入り込んできたのを感じて土踏まずにぎゅっと力を入れた。


『息は止めない、ゆーっくり吐くのよ。…そうそうとても上手よ』


息を止めないことで力は自然と抜けていつもの検査のように何度も力を抜くように促されることはなかった。


ヒヤリと冷たいジェルが当てられて入り込んでくるのが分かってぎゅっと目を閉じた。

『息を吐いて、指をクロスして』

先生のゆっくりと流れるような声にさっき言われたことを思い出して何度か指を交互にクロスさせた。


検査の機械が出されると痛みがないかを確かめるために直接先生が内診をしてくれたけどどこにも痛みはなくてそれもあっという間に終わりにしてくれた

『はい。終わりよ。ゆっくり支度をして診察室に戻ってきて頂戴ね』




泣かずに全ての内診を終えられたのは初めてだった。
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