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最愛 【黒子のバスケ】

第17章 A sky full of stars


side青峰


すっかり騙された。


紐を結ぶのを代わるためにみさきの手を触った時、みさきの手とは思えねぇ程冷たくて少し震えてて汗ばんでる。


いつもあったかくてすべすべふにふにの手とは違ってみさきが無理をしてることにこの時初めて気づいた


貧血なんだから頭を下げたら余計に具合が悪くなると思った



拒絶されねぇか怖かったけど膝をついて細い足首のアキレス腱のあたりをそっと触ると抵抗せずに大人しく結ばせてくれた


こんな風に紐を結ぶなんてみさき以外なら絶対ぇあり得ねぇ

何でもかんでも一人でやろうとするし、具合良くねぇのに無理してでも見送り来ようとしてくれるし…

こんな時に空港まで付き合わせる罪悪感は確かにあんのにぎりぎりまで俺といたいと思ってくれてるみさきの気持ちがすげぇ嬉しかった


左足は触っても嫌がらなかった

でも右はそういうわけにいかねぇ
太ももを嫌がるってのは分かってたけど足首だって嫌なのかもしれねぇと思ったら触ることはできなかった


案の定自分でやるっつーみさきを遮って結びやすい位置に自分が移動して紐を持つと大人しくしててくれて紐をちゃんと結べた


「あの…ありがとう。こんなことさせてごめんね」

「気にすんな。具合悪りぃなら無理すんなよ」

「悪くないよ」


目泳がせすぎ。
ほんと嘘つくの下手。


「じゃあそういうことにしといてやる。車で寝ろよ」

「大丈夫だもん」


ここでも意地を張るみさきを立ち上がらせるために手を貸すと相変わらず冷たくて少し震えるいつもよりもずっと白い手がそっと重ねられた。


今度からは騙されねーぞ。

みさきの体調は化粧した後の顔色じゃ正しく判断できねぇ。


明らかに具合がよくなくてもみさきの腕ならいくらだって健康そうに見える。

超多忙で寝不足の黄瀬がいつもイケメンになってんのはみさきのお陰だな。


「8月の日本での仕事、お前にやってもらいてぇから今はきっちり休んで復帰したら頼むぜ」

「ホントに⁉やらせてくれるの⁉」

当たり前だろ。
お前以外になんて触られたくねぇよ。

「仕事だからライアンから連絡させる」

「うん!よろしくお願いします!」


いい顔。
すっげぇ可愛い。

こうやって笑ってるとマジで具合悪いなんて分からねぇ。
フェイクには結構自信あったけどみさきのメイクには全く敵わねぇな
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