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最愛 【黒子のバスケ】

第17章 A sky full of stars


すっかり元気って訳にはいかなかったけど寝れたおかげで気持ち悪さはなくなった。

怠さと眠さは生理ではどうしようもない。


いつもよりも顔色が悪くて全く冴えない自分を少しでもよく見せたくて、少しだけしっかりメイクをした。


しばらく会えなくなるのに最後に見せる顔が最悪の顔なんて絶対に嫌だった。


血色の悪さをチークで誤魔化して唇もいつもより少しだけ暗めに色づけた。

顔色の悪い時に明るい透明感の強いリップをのせるのは却って青白さを強調してチークだけが濃く見えてしまう。

バランスを見ながら色を調整して最後に軽くティッシュで押さえて完成


外出用の服に着替えて階段を降りると、玄関ホールに青峰君とパパのキャリーが置いてあった。


今感じるこの寂しさはきっとあたしが日本に帰った時何倍も大きな喜びを与えてくれる。



「お待たせ。用意できたよ」


リビングを開けてソファで話してるみんなに声をかけると青峰君が立ち上がって近くに来てくれた。


「さっきより顔色いいな」

「でしょ?ずっと寝ててごめんね」


青峰君はすごく優しくていつもあたしを心配してくれてるから顔色がよく見える色を選んでよかった。


「そろそろ出ないと渋滞があったら間に合わない」

「そうね」

『じゃあ俺車取ってくる』

『あたしも一緒に行くわ』



シカゴでさよならした時すっごく寂しいって思う気持ちが勝手に涙になってしまって…
本当は頑張ってねって笑ってお見送りをするつもりだったのにできなかった

今日こそ泣かないでちゃんと頑張ってねって伝えたい


先に家を出た大我とハンナに続いてパパとママが家を出て、先に靴を履いた青峰君があたしを待ってくれるから、できるだけ急いで靴を履こうとしたけど貧血のせいか指先が冷たくて震えて思うように紐が結べない



「足こっちに出せ」


あたしの足元に膝をついてあたしの手を靴から離させて足首をそっと引っ張るとあっという間に左足の靴紐を結んでくれた


「ほら、反対も」

「自分で…」

「できねぇだろ。ほんとはまだ具合良くねぇんだろ。お前のメイクにすっかり騙された。さすがだな」


優しく笑って今度は足に触らずに青峰君があたしの足の方に近づいて紐を綺麗に結んでくれた



目の前に差し出された大きな手に自分の手を重ねるとゆっくりと立ち上がらせてくれた
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