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最愛 【黒子のバスケ】

第17章 A sky full of stars


青峰君が日本に帰ることが青峰君の復帰につながるって分かってて、それが嬉しい反面自分は復帰が遅れることが不安でしょうがなかった。


だから、家でもメイクのことをしたり去年どんな仕事をしてたのか見返したりして、こっちから営業をかけないと仕事がもらえなくなってしまうってことに猛烈な焦りを感じてる。


心停止したことで、3か月は心臓に負担のかかるようなトレーニングは禁止されて、本当にきちんと歩けるように戻るのかも不安でたまらなくて、少しでも早くリハビリを始めようとするあたしを青峰君はいつも諭してくれた。


「お前が焦っちまうのも分からなくねぇ。でも今は傷を完治させることと、心臓に負担をかけねぇことだけを考えろ。無理してリハビリ始めて、また入院になっちまったら9月の仕事だってできなくなっちまうだろ?」


「うん…そうします」


最近のあたしの口癖は「一人でできる」だった。

立ち上がることも階段を上ることも手を貸してくれるのは嬉しいけど一人でできなかったらどんどん復帰が遠ざかる気がした。


「休むのも仕事だ」

「うん」

優しく笑って頭を撫でてくれる青峰君にそう言われてしまえば逆らえなくなってしまう。


あたしよりもずっとずっとシビアな状況に身を置いている青峰君がそう言うのならきっとそれが正しい。


「ほら、こっち来い」

お布団に入ってドライヤーを片付けるあたしをベッドに呼んで長い腕を巻き付けてくれる。


「腕枕ダメだよ…」

そのままベッドに寝っ転がったから、自然と腕枕をしてもらう体勢になってしまったから、頭をどかそうとしたのに青峰君が抑え込むから動けない。

「5分以内ならいいんだろ?」

「…そうだけど、しないに越したことはないの」

「俺がしてぇの。8月にお前が帰国するまでできねぇんだから少しぐらいさせろよ」

「じゃあ3分だけ…」

してもらうのはすごく好きで、青峰君のいい匂いがすっごく近くで感じられるから幸せなんだけど…
NBA選手の腕に乗ってるなんてほんとにあたしは何様なのって感じで申し訳なくもある。

それでも青峰君が言ってくれる言葉でついついあたしは甘えてしまう。


「それじゃ足りねぇよ。5分だ」

強引なのにどうしてこんなに幸福感を感じるんだろう…
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