第16章 愛しい体温
肋骨の次は脚の傷を形成外科の先生に診てもらって、傷の治り具合や色、凹凸でケロイドになる可能性があればお薬をもらうことになっている。
すぐに呼ばれるから近くにいるように言われて形成外科の待合で待ってると、診察室から出てきた人を見て一瞬言葉を失った
____________『ハンナ…?』
どうしてハンナがLAにいるの?
それに…
『………ミサキ…タイガ…』
『その顔…どうしたの…!?』
髪で隠してはいるけど、あたしが名前を呼んでこっちを向いた時に見えた顔の傷。
頬から首に掛けて細長い形に火傷の痕みたいなものがある
聞いていいとかいけないとか判断する前に勝手に言葉が出てしまった。
『黒須さん 中へどうぞ』
ハンナの返事を聞く暇もなく診察室に呼ばれてしまって、行かざるを得ないけどハンナと話せないなんて嫌だった。
『ねぇ、時間あるなら帰らないで待っててもらえない!?』
『……えぇ。どっちにしてもミサキにはそろそろ連絡したかったから…』
『すぐに来るからね』
ハンナのことはものすごく気になって、帰っちゃうんじゃないかって思ったけど診察を受けない訳にはいかなくて大我に目配せをしてから診察室に入った。
自分の脚の傷なんてどうでもいいと思ってしまうほど、ハンナの顔のことが気になった。
ハンナは美人で性格は明るかった。
だけど今見たハンナは顔の傷を気にしてか、俯いて髪で顔を隠してすごく元気がないように見えた。
記憶をたどる過程でメッセージを見返した時、ハンナとのメッセージも確認してた。
大我と距離を置きたがったことも、絵文字がなくて元気がなさそうだったのも、あの傷が原因なんじゃないかって思わずにいられなかった。
あたしの傷は盛り上がりもないしかゆみもないから後2カ月はテープを貼って生活をして、かゆみや違和感があるようならまた診てもらうってことで診察が終わった。
先生にお礼をして診察室の扉を開けるとハンナが座っててくれたけど、大我とは少し離れて座ってて、相変わらずうつむいたままのハンナを見てるとあたしまで悲しくて堪らなかった