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最愛 【黒子のバスケ】

第16章 愛しい体温


side火神

退院してからのみさきは気分にかなり波がある。

記憶がねぇことを悩んでもしょうがねぇって思って開き直ってる時と、思い出したいっつって色々考え込んで結局思い出せなくて落ち込む時と…


桃井や進藤にも記憶が飛んでる部分についてかなり聞いてるらしいし

思い出せなくても4カ月の間にどんなことがあったのか知りてぇんだよな。


みさきを先に家に入らせて、青峰と二人でジャグジーで体を温めながらこの先どうしていけばみさきが一番落ち着けるのかを考えた。


それに青峰だって付き合ってることを忘れられたまま何も言えねぇ状態なのはきついんじゃねぇかってことも心配ではあった

「お前さ、みさきに言わねぇの?」

「あ? 何が?」

「付き合ってるって言わなくていいのか?」

「言いてぇ気持ちがねぇ訳じゃねぇけど…混乱させたくねぇんだよ。今みさきは俺に過去のことを知られてねぇって思ってるから普通にしてられんだろ。付き合ってるっつったら、また過去のことを話さねぇといけねぇんだって思わせちまう。あんな感情のねぇ苦しそうなみさきは見てられねぇ。それに俺が全部知って付き合ってるっつったってあいつには自分が話した記憶がねぇんだから余計混乱させんだろ。聞かれりゃ嘘は言わねぇけど聞かれねぇうちは言うつもりはねぇ」


やっぱ青峰の思考の中心にいるのはいつだってみさきなんだな…

付き合ったばっかで、すげぇ好きな相手に自分と付き合ってることを思い出してほしいと思うのは当然のことなのに、自分の気持ちを抑え込んででもみさきを大事にしてくれてることは素直にすげぇと思うし嬉しかった。


「それに記憶がねぇからみさきは俺が自分を好きだって気づいてねぇだろ?シカゴの時を繰り返してるみてぇで、みさきの反応がめちゃくちゃ可愛いからすぐに思い出してもらえなくても別に構やしねぇよ。そのうち思い出してくれりゃラッキーだし、思い出さなかったとしても俺はみさきしかありえねぇ」



まぁ確かにな…


あの反応はシカゴの時そっくりだわ。

付き合ったからって突然反応が変わった訳じゃねぇけど、青峰が近かったり優しかったりってことにいちいち照れて、片思いだって思い込んでるみさきは結構可愛かったりもするんだよな…

それにみさきが青峰を信用してる気持ちは少しも変わってねぇ。



こいつらならきっと乗り越えられる
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