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最愛 【黒子のバスケ】

第16章 愛しい体温


「ほら手貸せ」

大我とママがあたしの荷物を積み込む間、青峰君があたしを車に乗せるために手を貸してくれた。

全く歩けないわけじゃないけど、ゆっくりしか歩けないから玄関までは車いすに乗せてもらってたから手を借りてゆっくりと立ち上がった


傷は塞がっていても立ったり座ったりして筋肉を使う動きはやっぱり痛む


車の段差前までゆっくりと自分で歩いた。


「乗せるから暴れるなよ」


「うん。ごめんね」


荷物を積み終わった大我があたしを抱っこしてリクライニングされたシートに寝かせてくれた。

青峰君がへんてこなやる気のなさそうな小さめの子犬の抱き枕をあたしに渡して、頭を撫でてくれた。


「時間かかるから少し寝ろ。検査疲れただろ?」

「じゃあ少しだけ寝る」

今日は検査がいっぱいあって立ったり座ったりをしたから結構疲れた。
10日以上寝続けてた体で検査に回ったりシャワーを浴びるのは、結構な体力を消耗した

「この抱き枕、青峰君の?」

「ははははは!んな訳ねぇだろ!」

なぜか大我が大笑いしてる。


「それはこっちに来る前にお前と俺で3つ買ったんだ。1匹はお前で1匹はうち、もう1匹は青峰の新しい家に行くことになってんの」


「え…青峰君こんなデザインでいいの?」

「お前がくれたんだからいいんだよ。それにこいつはネロの昼寝友達だ」


記憶はなくても大我も青峰君もいろんな話をしてくれた。

さつきと美緒と一緒にシカゴにバスケを見に行ったこと
来期からは二人でレイカーズに移籍したこと、青峰君は試合中のアクシデントで腕をけがして手術したこと


確かにあったことなのに記憶がなくて、その時のことが思い出せないのはすごく寂しいけど、あたしが覚えてなくてもみんなは覚えてて話をしてくれるのは嬉しかった


「青峰君、腕大丈夫?」

「あぁ。7月の中旬に日本に戻ってリハビリ始める。トレーニングキャンプはちょっと間に合わねぇかもしれねぇけど開幕戦には間に合わせる」


「レイカーズでも5番?」

「いや、15だ」

「そうなんだ。5が好きなの?」

「そうじゃねぇよ。俺にとって15は特別な数字だ。ほら寝ろって」




少し笑った青峰君に言われて、この子犬をぎゅっとして目を閉じると青峰君の匂いがしてすごく安心した
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