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最愛 【黒子のバスケ】

第16章 愛しい体温


11年前の出来事が、ここまでみさきの邪魔をしてくることに猛烈な怒りと腹立たしさを感じた。


みさきが意識を取り戻したことで、みさきのことは取り敢えず安心できるものの問題はこっちだ。


「大丈夫か?」


「…あぁ」


やっと手に入れた本気で惚れた女に、付き合ってるってことを忘れられる辛さは想像はできても理解してやることはできねぇ。


「無理すんなよ」

「あぁ…」


けど、青峰のことだからきっとまたみさきを手に入れる。


それにみさきの記憶は一時的に飛んでるだけで戻る可能性だってある

関連のあるものを見せたり話したりすることで、忘れてる記憶を取り戻せることもあるってことを緑間が教えてくれた


「可能性は残ってる」

「別に思い出さなくても生きててくれりゃそれでいい。命と引き換えなら4か月の記憶なんてくれてやればいい。俺と付き合ってるってことを忘れちまったならそれでも構わねぇ。何度忘れられても、何年かかっても、俺はまたみさきを手に入れる」


そういう青峰の顔はこの病院で見た顔の中で一番安堵した顔だった。

周りはいつだって欲張りで、生きててほしい、次は意識が戻ってほしい、そしてその次は覚えててほしいと望む。

けど多分青峰は、みさきに意識が無かったとしても、生きててくれりゃそれでいいって言ったような気がする。


「けど、すげぇ気に食わねぇことはある」

「なんだよ」

「めちゃくちゃしんどい思いして、思い出したくねぇことを泣いてまで俺に話したこともみさきは覚えてねぇ。ミラノのこともそうだけど、みさき自身が努力したことを本人が忘れちまってるってことだけは納得いかねぇ」


「お前…実はすげぇ優しいな」


今まで常に自分が中心で自分が最優先だったこいつが、みさきと知り合ってから常にみさき中心でみさき最優先。

みさきが過去のことを話さなくても、一度も自分から聞くことなく、気づいていながら気づかねぇふりをして、本当のことを知った後も、みさきを怖がらせたくねぇって、俺たちに聞くだけじゃなくてPTSDのことを調べたりしてた


こいつはみさきの言う通り誰よりも優しくて、一番かっこいい男なのかもしれねぇな


「優しいかどうか知らねぇけど、俺はみさきが……何よりも大事なんだよ…」


んなこと見てりゃわかるっつーの
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