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最愛 【黒子のバスケ】

第16章 愛しい体温


夢の中で合流しようって言った青峰君が部屋を出て行って入れ違いで誰かが来てくれた。


「みさきちゃん、今日はねちょっと会ってほしい人がいるの」

あ、玲子先生だ。

『こんにちは。もちろん覚えてないわよねぇ』

優しく話す、おばあちゃんくらいの年齢の声。
誰だろ


『小さかったあなたがこんなに美人さんになってメイクさんしてるんですって?』

喋り方はすごく優しくて安心できる声だけど初めて聴く声で、どうしてあたしを知ってるのか不思議だった。


『あ、私のこと分からないわよね。私はね、27年前あなたのお母さんからあなたを取り上げたのよ。それはそれは小さかった。両手に乗るくらいの本当に小さな赤ちゃんだったのよ……お母さんも小さい体だったけどすごく生命力の強い人だったわ』


そっか…あたしこの病院で生まれたんだ。
生まれた時のことなんて全然覚えてなくて、おばあちゃんが教えてくれたから大変な出産だったってことは分かってたけど、先生が覚えてるほどだったなんて…


『あなたもそうよ。小さかったけど一生懸命お母さんを呼んでたことを今でもはっきり覚えてるわ。今度はあなたが呼ばれてるんだから頑張って戻ってこなきゃね。もう一休みしたら戻ってくるのよ。あなたは強い子よ』



『神の御加護を』


そう言ってチュっと音を立てておでこに柔らかい感触があって、キスをしてくれたことが分かった。


玲子先生とそのおばあちゃんくらいの先生が話してると、青峰君が戻ってきて二人が部屋から出て行った。



「前のチームの奴が子供が生まれたって連絡くれた」

わ!おめでとうございます!

「ルーカスって名前にしたらしい。お前と一緒に会いに来いって」

あたしもいいの?
ルーカスなら男の子だよね。お祝い何がいいんだろ



毎日あたしにいろんなことを話してくれる青峰君と会話にならないことが悲しかった。

自分は話してるつもりなのに…
あたしの声は聞こえてないんだ…

夢の中で合流できるならそこで話をしようと思って、夢の中に行かれるように目を閉じると徐々に周りの音が聞こえなくなっていった
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