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最愛 【黒子のバスケ】

第16章 愛しい体温


side青峰

みさきがICUを出て個室に移されてから1週間


意識こそねぇけどICUを出れて呼吸器も取れたってことは少しずつでも状況はいい方に向かってるってことを実感できた。


規則的に上下する胸は、みさきがちゃんと自分で呼吸してることを教えてくれた。

顔色も白いけど悪くはねぇから意識がないんじゃなくて、ただただ寝てるだけにしか見えなかった。




静かに眠り続けるみさきの細い手をそっと握っていつものようにあの犬の抱き枕に頭を預けた。


チームのドクターの診察で腕の傷の治りが悪いことを指摘されて7月初旬から始める予定だったリハビリが7月の中旬に延期になった。


バスケは確かに大事だけどそれ以上に大事なもんができて、そいつの為にバスケを頑張りたかった。


もうどうしていいのか分からなかった。


「みさき?まだ起きたくねぇか?」


相変わらず返事のないみさきに俺は話しかけた。

目を開けず何も言わねぇみさきは「起きたくないの」って言ってるようだった。


「あんまり長く寝すぎて目の覚まし方忘れちまったか?」


「俺も今から寝るから起きるとき一緒に起きれるように夢ん中で合流するか?それとも俺がずっと寝てりゃお前といられるか?」


生きてるだけでよかった。
だけど現実じゃなくてもいいからみさきの目を見て声を聞きたかった。





みさきの手を握って眠りに落ちる直前俺のスマホが震えて、でも出る気にはなれなくてそのまま目を閉じたけど何度も何度もなり続けた。



あまりのしつこさに仕方なくスマホを見るとキャブスのときのSGからだった。
ずっと世話になってたし移籍が決まった時も祝福してくれた。


あいつがこんなに何度も掛けてくるなんて珍しくて部屋をでて折り返し電話をかけた。


『久しぶりだな…』

『ダイキ…お前どうした?タイミング悪かったか?』

『いや…ちょっと色々立て込んでてな。なんかあったか?』

詳しく話す気にはなれなかった。

いくら兄貴みてぇな存在とは言えみさきのことを今話すのはしんどかった。
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