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最愛 【黒子のバスケ】

第16章 愛しい体温


ピッ…ピッ…ピッ…





何か聞こえる…


一定の電子音と人の足音…かな?



「ほんとよく寝るな。ずっと仰向けで背中痛くねぇか?」


青峰君…?
もしかしてあたしに話しかけてくれてる?

あたし寝てるの?




左手に感じるあったかい感じと、聞いたことのある低くて落ち着いた優しい声。

返事をしないとって思って言葉を出そうとするのに喋れない。


「また痩せたな」

そうなの?

「さつきと進藤が7月にこっち来るって連絡あった」

7月のいつだろ?でも会えるの楽しみ。


あたしの大好きなあったかくて大きな手が、あたしの手を握ったり撫でたりして時々指のほくろに柔らかい感触が当たる。


青峰君の指ってすっごく柔らかい

「ごめんな。ずっとここにいてぇんだけど、今日どうしてもこっちのトレーナーと面会しなきゃいけねぇんだ。また戻ってくるからいい子にしてろよ」

いい子って(笑)あたし子供じゃないもん。


「青峰、俺が見てるからなんかありゃ必ず連絡する。早く行け」

あ、大我?
なんかって何よ。あたしが悪いことするとでも思ってるの?


「大輝君、行って。待たせるのは良くないわ」

ママだ。
あたしは全然青峰君のこと名前で呼べないのにママは勝手に“大輝君”とか呼んで…
いつからそんな仲良しになったの?


部屋の扉の開く音が聞こえて、1つの足音が部屋を出ていくように遠ざかって、もう1つの足音があたしに近づいて手首に触れる。


「血圧、心拍、呼吸に問題はないので今から一般病棟に移って夕方には呼吸器を外せます。傷も塞がっていますし、ここまでくれば感染症などは大丈夫と言っていいでしょう」


真太郎だ。
傷って?呼吸器とか心拍とか何?
あたしどうしたんだっけ?


自分の状況が呑み込めない中突如視界が真っ白になって、目を開けているのが嫌なほど明るくなる。

左目と右目と交互に何度かそれをやられた。



まぶしいからやめて!
それに目を無理やり開かせないで!

「瞳孔も正常に反応している」


あ、真太郎でしょ。
なんでそんな意地悪するのよ。



起きているつもりではいるのに、視界から情報を得ることができないし体も動かない。
耳から入ってくる情報で同じ空間に誰がいるのかと、今自分がどんな状況なのかを必死に理解しようとしていた。
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