第16章 愛しい体温
side青峰
みさきが眠り続けて1週間が経った。
みさきの目がまた俺を見てくれることがあるのか
みさきの声がまた俺を呼んでくれることがあるのか
____なかったとしても、俺にはみさきしかいねぇ
過去のことを聞いたとき、俺はこの先みさきだけを愛して一生みさきといることを決めた。
だからこの目が二度と開かなくても、二度と声を聞けなくても、この体温が感じられるなら俺はみさきと生きていく。
何年でも何十年でもみさきが起きる気になるまで待つ。
俺が死ぬまでに起きる気にならねぇなら死んだ後でも別にいい。
死んだ後どこに行くかなんて分からねぇけど、どこにいたって俺は絶対ぇみさきを見つける。
そしたらあのウルウルの綺麗な目を好きなだけ見て、聞けなかった分何度も名前を呼ばせる。
呼んでも返事のない名前を何度も呼んで、握ったら折れちまいそうな細い手を何度も撫でて力を入れすぎねぇように握った。
手術の前にみさきが言ってくれた「大好きだよ。だいき」って言葉を何度も思い出して、見つめるといつも照れた顔してウルウルさせてた目を思い浮かべる。
何度かしたキスの感覚もちゃんと覚えてる。
みさきとするキスだけは好きだった。
初めて唇を重ねた時、照れまくって顔隠してすげぇ可愛かった。
今は人工呼吸器が付けられてて唇にキスすることはできねぇけどデコと左の薬指のほくろには何度もキスをした。
みさきが持ってきた犬の抱き枕に頭をのせて、みさきの手を握って眠ると初めて一緒に寝た時のことを思い出す。
女と寝るなんて考えたこともなかった俺がどうしてもみさきを離したくなくて寝ぼけたふりして抱き込んで、あのでかいカウチで朝まで寝た。
小せぇけどめちゃくちゃぴったりはまって、華奢だけどめちゃくちゃ柔らかいみさきを抱きしめて寝るのはすげぇ幸せだった。
みさきを抱きしめると心の底から癒された。
みさきが抱きしめ返してくれると可愛くて堪らなかった。
愛してる
どんなことがあっても、どんな姿でも、俺は世界中の誰よりもお前を愛してる