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最愛 【黒子のバスケ】

第16章 愛しい体温


side 緑間

オペから5日


まだみさきは目を覚まさない。


オペから48時間を経過してからはみさきの家族と火神、青峰が交代で常にみさきに付き添っていた。

みさきのBOSSであるパトリックも仕事の合間を縫って何度も面会に来ているが、みさきは一向に目を覚まさない。


俺や玲子も何度もみさきの様子を見て話しかけてはいるが、反応はなかった


青峰は一日のほとんどをみさきの隣で過ごしてた。


元々細身のみさきは今回のオペの為に体重を増やしたが、おそらく今現在は術前より痩せてしまっている。


細くなったみさきの手を何度も撫でたり握ったりする青峰の姿は、見ているこっちが辛くなる。


これ程弱った青峰を見るのは初めてだった。


「脚痛くねぇか?」

「顔色少しよくなったな」

「さつきと進藤がお前に会いたがってるぞ」

「セルジオがメシ食わねぇって」


普段は口数の多くない青峰が、固く目を閉じて何も答えないみさきに毎日毎日必死に話しかけてた。




「少し痩せたな。起きたら何食いたいか決めとけよ」

お前だって痩せただろう…
みさきの父親に言われて食事は抜いてはいないようだが、眠れてはいないようで、色黒で目立たないはずが目の下にははっきりとクマが見えた。

過度の睡眠不足やストレスは体重の減少や食欲減退を誘発する。

このままではこいつが持たない


「お前も少し寝なければ…じきに倒れるぞ」

「…そんなヤワじゃねぇよ」


疲れ切った顔をして何を言っているのだと思う反面、もしこれが玲子だったならばと考えると青峰をみさきから引き離すことはできなかった。


こいつは多分誰に何を言われてもここを動くことはない。


みさきの荷物の中にいぬの形をしたクッションがあることを思い出して、みさきの母親から許可をもらい青峰に渡した。


このサイズならみさきの横に置いてそこに頭を乗せれば少しでも休めるはずだ。


「お前がそんなではみさきが心配するのだよ。ここで構わないから少しだけ目を閉じろ」


本来であればこんなことは許されない。
だが父とここの病院長との関係と今回の手術の経緯で、若干ではあるが病院側が柔軟な対応をしてくれた。



クッションに頭を預けた青峰がみさきの手を握り締めたまま目を閉じて、寝息が聞こえるのに時間はかからなかった
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