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最愛 【黒子のバスケ】

第16章 愛しい体温


side青峰

みさきの父親に言われてホテルに戻ってから、シャワーを済ませてルームサービスを頼むためにメニューを開いた。



みさきなら多分このエビとこっちのエビを選ぶんだろうな…

このサラダならみさきの作ったやつの方がうまそうだな…

このワインみさきが好きそうだな…


自分の食事を選ぶために開いたメニューでも、考えるのはみさきのことばっかりだった。


知り合って1年弱

今まで付き合った女よりも付き合ってねぇみさきと過ごす時間の方が多くて、何よりも幸せを感じた


思い出せば出すほど泣きたくなって一番早く出せるものを頼んだら寿司だった



ほんと、情けねぇ…

何もしてやれねぇどころか自分のことすらままならなくなって、言われなきゃ飯も食う気になれねぇ




そういや…緑間の結婚式の次の日さつきたちと出かけてたみさきと合流して寿司食ったな…

金目鯛の寿司ががうまいとか言って、大喜びしてすげぇ可愛かった。

俺も食ったけどあれはうまかった。

エビの寿司と刺身とてんぷらを全種類食って、さつきと進藤からももらって食って嬉しそうに笑ってたな…


家に帰っても、みさきの笑った顔が忘れられなくて会える理由を探した。



多分俺は……最初からみさきに惚れてた。





届いた寿司を見て全然食う気にはなれなかったけど、みさきと付き合う条件が仕事をきっちりこなすことだっつーなら食わねぇなんてことはできねぇ。


全く味を感じないそれを何とか胃袋に押し込んでから病院に戻った。






みさきは相変わらず真っ青で機械に繋がれたままで少しも安心なんてできなかった。


緑間はみさきの様子を見る為にICUに入れるけど、俺たちはまだ入れない。


モニターを見てみさきの手首に触りながら時計を見る緑間の口元が少しだけ笑った気がした。



ICUから出てきた緑間が俺たちにみさきの状況を説明してくれた。


『血圧こそまだ低いものの心拍は一定を刻んでいて心停止による心機能低下は今のところ見られない。血圧もオペ直後よりは若干回復していますので今のところは順調と言えます』



緑間の説明には何度も“今のところは”って言葉があった。

先のことは分かんねぇけど、今はみさきが生きてるってことだけが唯一の救いだった。
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