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最愛 【黒子のバスケ】

第16章 愛しい体温


side青峰


みさきの実家と病院は車で1時間。


手術の日から3日間は全員で病院近くのホテルに泊まることになってた。

みさきのばあちゃんと母親が先に食事とシャワーを済ませて戻ってきて、次に父親、火神と続いてみさきが一人にならねぇように交代でホテルに戻った。


「青峰も行ってこい。お前朝から何も食ってねぇんだからなんか食えよ」


「シャワーだけ済ませたらすぐ戻る」


火神にそう言われたけど食欲なんてとてもじゃねぇけど沸かなかった。
シャワーの時間ですら惜しかった。


みさきはICUにいるからガラスを隔てたとこでしか見れなかったけど、姿を見てるだけで気分は少しだけマシだった。






「体が資本…だろ?」


みさきの父親だ。


俺が前にみさきに言ったことをそのまま返された。


「大きな仕事の前は緊張して食事の取れないみさきがミラノで仕事をする前電話をくれた。緊張で食事をとれなくなるのは前からだったから貯血の件もあったしきちんと食事を摂るように言ったら、“分かってるよ。体が資本だからね”って言われた。娘にそれを言ったのは青峰君だろ?なら自分も同じじゃないのか?みさきの目が覚めた時、君が疲れ切ってやつれて痩せてたらどう思う?それに君はバスケット選手だろ?食事を抜くな。食事も仕事だ。仕事はどんなときでも100%でこなせ。…それが、俺の娘と付き合う条件だ」


身長は俺より低いのにすげぇ威圧感だった。
有無を言わせねぇ言葉なのに強制されてる感じはしなかった。


“パパはちょー厳しいけど結構優しいとこもあるの”ってみさきが言ってた。
こういう人が育てたからみさきはすげぇ優しくて強いんだな…


「大輝君…食事して」

みさきの実家に行くうちに母親は俺のことをそう呼ぶようになってた。


いつもは人に言われたからって自分の行動を変えたりはしねぇけど、みさきの親に言われてんのに無視はできねぇし、認めてもらえんならどんな条件だって呑む


食欲のあるなしじゃねぇ。食事も仕事だ


いつだって仕事を100%でこなしてクライアントを満足させてきたみさき。


あいつに釣り合う為には並みの努力なんかじゃ全然足りねぇ。


「食事してきます。…何かあれば…」

「必ず連絡はする」


鈍すぎなみさきの父親は鋭すぎで、俺の言いたいことを先回りして言ってくれた
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