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最愛 【黒子のバスケ】

第16章 愛しい体温


手術室から出できたみさきは今までに見たことがねぇ程青白くて、本当に生きているのかすらわからなかった。


横につながれたモニターが一定の電子音を鳴らしていて、それだけがみさきが生きてることを証明してくれているようだった。


目が覚めるまで安心はできねぇけど、心停止してもちゃんと戻ってきてくれたみさきが生きてるならどんな姿でも構わなかった。



真っ白な包帯の巻かれた細い脚は痛々しくてかわいそうで、たとえバスケができなくなったとしても代わってやれるなら代わってやりたかった。


ゆっくり俺たちの前を通ってICUに入ったみさきは、ピクリとも動かず目も硬く閉じられたままだった。


『目が覚めた後の検査や今後の病院生活についてご説明いたしますので先ほどの部屋へお願いします』


執刀医の言葉は聞こえてたけどみさきから離れたくなかった。
もし話を聞いてる間に何かあったらと思うと動く気になれなかった。


「青峰、聞いておかなきゃ困るだろ」


動かない俺に火神が声をかけてきたけど、みさきを一人にしておきたくなかった。


「青峰君、みさきちゃんはあたしが見てるから聞きに行って。みさきちゃんだってそんなにずっと見つめられたら恥ずかしいって言うと思わない?」


「だけど…」

怖かった。
みさきの父親が心停止だって呟いたとき、もう二度とみさきが戻ってこねぇんじゃねぇかって恐怖でおかしくなりそうだった。

目を離してるうちにまた同じことが起きたら…

「確かに状況は予断を許さない。でも先生が先のことを説明するってことは、この先の可能性があるってことなの。だから青峰君も信じて。ちゃんと聞いて、みさきちゃんが目を覚ましたらいろんなことを手伝ってあげてほしい」




「…分かったっす…」



玲子サンに言われて何度もみさきを振り返りながらさっきの部屋に入ると、すでに医者もそろっていて説明を待っていてくれたらしかった。


『すいません…』

『いや…気持ちは痛い程分かる』


小さく謝る俺にみさきの父親が椅子を引いてくれた。




『では始めますがよろしいでしょうか?』


緑間のよく通る声が部屋に響いて今後の説明が始まった
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