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最愛 【黒子のバスケ】

第16章 愛しい体温


side青峰

手術直前、みさきが最後みてぇな言い方をするからすげぇ泣きたくなって必死にそれを堪えた。


抱きしめる腕に自然と力が入って、手術室に行かせるのが嫌で嫌でしょうがなかった

俺が力を入れるとみさきも今までで一番強くしっかりと抱き付いてくれて、お互い何も言わなかった


けどこれだけは伝えとく



こんなこと口に出すなんて少し前までなら考えられなかった



思ったことすらなかった



みさきに惚れて初めて知った感情













「愛してる」





驚いたように顔を上げたみさきのデカい目にみるみるうちに涙が溜まっていく


何度も瞬きをして、眉を下げて俺の目を見つめてくれるみさきは堪らなく愛しかった




「あの……あたし…それがまだよく分からなくて…でもすごく好きで…その…大好きとかよりももっと好きで…」



かわいーな…ほんと

照れながら考えながら、素直になるのが苦手なみさきが一生懸命自分の気持ちを俺に伝えてくれてるその姿が可愛くて愛しくて

許されるならこのまま攫っちまいたかった
手術なんてやめてくれって言っちまいそうだった



「それで充分だ」

「あの…さっきのすっごく嬉しかったデス」

「ならこの先何度でも言ってやる。だから必ず戻って来い」


少し笑って頷いたみさきに何度目かになるキスをすると、いつもは俺が離せばすぐに離れる唇が、離そうとしても離れなかった。




身長差があって、キスするためにかがめた俺の首にみさきの細い腕がしっかりと巻き付いて離れるのを阻止してた。



舌を絡ませたりはしねぇけど何度も何度も触れるだけのキスを繰り返した。


「ん…好き。大好き」

好き…

青峰君…すき


キスの合間の小さく呟くようなみさきの声が俺の耳に届いてどうしようもねぇ程離れたくなくなる


「愛してる」


2度目にそれを伝えて長めのキスをすると、みさきの目尻から涙が流れ落ちたのが見えて俺もこらえきれなかった


自分の視界が滲むのを感じてみさきに見られたくなくて、頭を抑え込んで強く抱きしめると、みさきの鼻をすする音だけが部屋に響いてた



女の涙を見て苦しくなることがあるなんてみさきに知り合うまで知らなかった


涙を止めたみさきが顔を上げてもう一度キスをすると、部屋がノックされて、ついに手術の時間がきた
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