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最愛 【黒子のバスケ】

第16章 愛しい体温


side青峰


「みさき…」

死んでもいいなんて聞きたくなかった。

けどみさきだって、いろんなことに耐えて我慢して、もうギリギリなんだよな…

華奢な体を抱きしめると震えてて、みさきが一番怖いんだってこの時になってやっと気付いた。


俺より、母親より、火神より、みさきが一番怖い思いをしてる。


「自分が悪いって分かってる。それに……ホントは死んでもいいなんて思ってない…」

「分かってる。お前の母親だってちゃんと分かってる。けどお前がいなくなっちまうって思ったら怖いんだよ」


手術前の採血やレントゲンで精神的にかなりきつくなるっていうのは予想してたし火神からも緑間からも聞いてた

それに……
多分みさきは、自分が怖がったりすることで余計に周りを不安にさせると思って無理してでも普通に振る舞ってた。


もっとよく見て早く気づくべきだった。


「ごめんな…」

「なんで青峰君が謝るの?悪いことしてないのに…」

「お前が一番不安だってことに気付けなかった」

ちょっと考えりゃわかる事だったのに、あんな事言わせるまで気づいてやれなかった



力なく下げられてた手が俺の服を少し掴んでみさきの体から力が抜けていくのを感じた。


背中を撫でてると俺に体を預けて少しずつ深い呼吸が聞こえてきた。

…………



こいつまさか……

寝てる?

少し体を離して自分より低い位置にあるみさきの顔を見ると明らかに寝てたと思われるぐれぇ目がトロンとしてる。


「眠いか?」

「…うん」

「全部終わったなら帰るか」

「うん」


採血は体力を消耗するってのは聞いてたけど、多分みさきはちゃんと寝れてなかったんじゃねぇかって思った。


立ったまま寝ちまうなんていくら寝るのが好きだってそうそうやることじゃねぇ。


火神に車を正面に回すようにメッセージを入れて今にも寝そうなみさきの手を引いて部屋を出た。


「顔が疲れているのだよ。ゆっくり休め」

「うん。真太郎もね」

隣の部屋にいる緑間達に帰ることを伝えてから病院を出た。



「どっちの家帰る?」

「セルジオいるから実家戻る」

「おばさんに一緒にいてくれって頼まれてるから俺らもそっち行っていいか?」

「うん」


火神に短く返事をして目を閉じたみさきを引き寄せるとそのまま俺にもたれてくれた
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