第5章 色褪せない想い
3日後に帰国する大我を空港に送るため予定を確認すると、その日は午前中の打ち合わせだけだった。
「仕事終わるの1時前ごろだからフライトが5時以降なら送って行けるよ」
「元々夜出るつもりだったし頼んでいいか?」
「OK」
「青峰も一緒に頼めるか?」
「あたしは大丈夫だよ。青峰さんちまでお迎えに行けばいいの?」
「あぁ。こっから10分もかかんねぇくらい」
「さつきがおうち隣同士って言ってたからだいたいわかるんだけど、あそこの一通どっちから入るかだけ聞いておいて」
美緒とさつきと3人で横浜に行った時、さつきがお家は隣だけど車で送って貰う時はうちとは違う方から入らないと大回りになるとか言ってて歩きの方が断然早いらしい。
青峰さんが乗るなら後でちょっと綺麗にしよ…
大我だからどうでもいいってことじゃなくて、後部座席はふだん目が行き届かなくて知らないうちに汚れてることがあるから、不潔だと思われたくない。
大我に駐車場まで荷物を運んでもらって、いつも通りいってきますのハグをして今日の仕事に向かった
「運転気をつけろよ」
「はーい」
忘れ物がないかもう一度確認して車を出した。
今日はアンナさんとの仕事。
初仕事じゃないけど、直接のクライアントになってくれてからは初めての仕事になる
今日はスタジオ撮影だからこの間のような熱中症の心配はなさそう。
スタジオに着いて誰もいないと分かっていても、念の為控え室にノックをして入室する
「おはようございます」
部屋にはすでに新作のドリンクが置かれていて、パッケージを改めて読み直してからメイクの準備を始めた。
「よろしく」
アンナさんがきて扉を開くなり、さっぱりした声で挨拶してくれて席に座った。
中には挨拶はせずに椅子に座る人もいるから、挨拶してもらえるのは結構嬉しい。
「ご指名いただけて本当に嬉しいです。よろしくお願いいたします」
この間より全然元気そうで、顔色が良くて安心する。
「こんな感じてピックアップしてみたんですけど、アンナさんのイメージとズレてないですか?」
「これとこれはちょっと違うかな」
アンナさんと打ち合わせしていると、飲料の担当者さんも来てより具体的なビジョンを伝えてくれてメイクに入った。