第15章 初恋
「もー!朝からみさきに手間取らせないでよ」
「っせぇな…ってお前、なんか今日違くね?」
口うるせぇのは相変わらずだけど……
なんか、見た目はいつもよりいい感じに仕上がってる……気がする。
「分かる?」
「その変な顔やめろ」
首をかしげてにんまりと笑って俺を見てくるさつきは見るからに機嫌がいい。
「みさきがやってくれたのー!」
「やっぱそうだと思ったっス!美緒もみさきっちにしてもらったっしょ」
「うん。初カラーライナーなんだけど、入れ方めちゃくちゃ天才じゃない?」
みさきのメイクを見慣れてるせいか、最初から気づいてたらしい黄瀬が進藤に近づいて目元をじっくり見てる。
すげぇ塗ってる感じじゃねぇのに、元々垢抜けちゃいるけど、今日はより整った感じになっててみさきのメイクの腕の良さを物語ってるようだった。
キャッキャ盛り上がってる女2人を見てみさきが嬉しそうに笑って「ご飯食べ終わったら軽くパウダーとリップだけ直すね」なんて言ってる。
席に着いて食いだしたみさきを見てから俺も朝飯に手を付けた。
「青峰っち、よかったっスね」
進藤のとこにいた黄瀬が近寄ってきたと思ったら小声で言われて、別に隠すつもりもなかったから、浮かれてるのだけは察されねぇように返した。
「あぁ」
「これで俺も正々堂々断れる。あとちょっと遅かったら俺も断れなかったかも」
は?何の話だ?
全然分かんねぇ。
「俺の事務所の後輩で一人みさきっちをガチで狙ってるクソガキがいる。ほとんど俺のメイクしてもらってるから連絡先教えろって顔合わせるたびに言われてて、けっこーしつこくて断るの大変だったんス」
みさきがそんな奴に接近されたら怖いに決まってる。
さすがに仕事中まで俺がどうにかしてやるなんてことはできねぇし、みさきだってそんなこと望んでねぇ。
ヤダけどここはこいつに頼むしかねぇか…
「そいつみさきに絶対ぇ近づけんな」
「分かってるっスよ。美緒からも言われてたし。けど彼氏がいないなら次会ったら自分で直接聞くとか言われて俺も結構焦ってた。ちょーギリギリ」
黄瀬は細けぇことを知らねぇまでも、みさきが男嫌いだってことはかなり前から分かってたらしく話は早かった。
「頼んだぜ」
「了解っス」