第16章 愛しい体温
side青峰
初めて重ねたみさきの唇はめちゃくちゃ柔らかくてあったかかった。
触れた瞬間、脳内で何かが弾けたようなスパークするような何とも言えねぇ感覚でキスだけでこんな衝撃を受けたのは初めてだった。
みさきのデカい目がゆっくり閉じられて俺も目を閉じると、唇から伝わるみさきの体温が俺の体温と混じり合うのを確かに感じた。
SEXなんてしなくてもみさきの体温を感じることができる。
今までキスなんてしたいとも思わなきゃなんの意味もねぇと思ってた。
だけど今は……
キスがすげぇ意味のある行為に感じた。
触れてただけの唇をゆっくり離すと、みさきは顔を隠しちまったけど、その仕草がめちゃくちゃ可愛くて思いっきり抱きしめた。
「大丈夫か?」
言葉はなかったけど顔を隠したまま何度も頷くのが分かって、怖がられなかったことに心底ほっとした。
昨日手は出さねぇっつった手前キスもするつもりはなかったけど、泣いてるみさきを見て、もう抱二度ときしめることができなくなっちまうんじゃねぇかって不安で、何故か無性にキスがしたくなった。
顔全体を覆ってた手が少しずつ下げられて、握った手で口元だけを押えて伏し目がちに何度も瞬きをするのが見えた。
デコにキスをすると少しだけ上を向いて俺を見てくれた。
頬に手を添えると顔がすげぇ熱くて目がウルッウルで下唇を緩く噛んでる。
可愛すぎだ…
キスだけでこんな顔されたら何度でもしたくなるけど多分何度もしてたら俺がヤバそうで、今日はここまでだって俺の理性も言ってる。
もうちょい頑張ってくれよ…
俺のぺらっぺらの理性たちに喝を入れてみさきの左手を握って薬指にあるほくろにキスをした。
この指は俺が予約する。
他の誰にもやらねぇ。
俺はみさきと一緒に生きて行く。
だから必ず戻って来い
「お前… 海好き?」
「え…うん好きだよ。日焼けは怖いけど」
「夜だから日焼けはしねぇけど、光る海って知ってるか?」
夜景や星が好きなみさきなら光ってるものは好きだろうし、すげぇ綺麗だって見に行った奴が言ってたからみさきにそれを見せたかった。