第15章 初恋
まさか自分のベッドで目を覚ました時に隣に青峰君が寝てるなんてことが起こるとは今まで少しも考えていなかった。
色黒の大きな骨ばった手があたしの指に絡められてるのは初めてじゃないけど青峰君があたしを好きって思ってそうしてくれてるのはすごく嬉しかった。
NYで夕暮れ時にお散歩をした時に初めて手を繋いだけど、青峰君の手はいつも温かかった。
青峰君っていつどうやってあたしを好きだなんて思ってくれたんだろう…
昨日“やっと付き合えた”なんて言ってくれたけど、あたしは最初から青峰君が好きだったんだから絶対あたしの方が長く片思いしてる。
青峰君を見てると本当に色々なことを思い出して色々知りたくなっちゃうから手を離してベッドを降りようと体を起こした。
……………
「また脱走か?」
手首が大きな手にそっと握られて隣を見ると目を開けてる青峰君とバッチリ目が合った。
「…脱走じゃないよ。ちょっと体を起こしただけ」
「ベッドから降りようとしてただろ」
バレてる…
「だって朝食食べるでしょ?本当に何にもないからちょっと買いに行こうかなって思ったの」
「それなら起こせばいいだろ」
「それはちょっと…だって青峰君すっごく気持ちよさそうに寝てるんだもん。いい気分で寝てる時に起こされると嫌でしょ?」
青峰君も寝起きが悪いらしいけどあたしだって全然寝起きがいいわけじゃない。
ぽかぽかした日に気持ちよくお昼寝してる時に邪魔されるとその後は結構不機嫌になったりする。
大我には“子供かよ”とか言われるけど空腹で機嫌が悪くなる大我と大して変わらないってあたしは思ってる。
「俺はお前と寝んのが好きなだけだ。次脱走しようとしたらペナルティだからな」
「えっ!?ペナルティって何!?」
「教えねぇ。ペナルティが嫌なら今度から絶対起こせよ」
「分かりましたー」
「なんだよその不満そうな返事は」
だって寝てるの起こすなんて可哀想なんだもん。
今度から青峰君より早く目が覚めたら二度寝して惰眠を貪ろう。
「不満じゃないもん」
「このっ…」
こちょこちょこちょ……
「ぎゃっ‼
くすぐったいっ‼!やめてー‼
キャーッ!‼」