第15章 初恋
「あの…ありがとう」
「何が??」
「何も聞かないでくれて」
「過去がどうだろうが俺は今のお前にめちゃくちゃ惚れてる。聞いたところで気持ちが変わる訳じゃねぇんだから話したくねぇことを聞くつもりはなかった」
そんな風に思ってくれてたなんて全然知らなかった
気付かれてるとも思わなかったし、一緒に寝ても何も無いのはあたしを女の人として見てないからなんだってずっと思ってた
でもだからこそ安心して一緒に過ごせて青峰君の優しい所をたくさん知れたんだと思う
「…けど、お前が全部話してくれた事はすげぇ嬉しかった。少しは信用されてる気がした」
少しじゃない。
すっごく信用してる。
信用してなかったら付き合うなんてきっとできない
「青峰君はいつも約束守ってくれてたから」
「お前が大事なんだからんなこと当たり前だろ」
優しく笑って大好きな甘い声で“お前が大事”なんて言われたら嬉しくて堪らない。
硬い胸にぎゅって顔を押し付けると青峰君のいい匂いがした。
「みさき」
優しい声に名前を呼ばれたと同時に顎に優しく手が添えられて青峰君を見るとおでこにそっと触れるキスをしてくれた。
顎に触れてた手が頬に添えられておでことおでこがくっついて鼻もくっつく
青峰君の高い鼻があたしの鼻をつんつんってするからあたしもつんつんってお返しすると今度は唇の横に優しくキスをしてくれた
そして唇を優しく親指で撫でてからまたあたしをぎゅっと抱き締めてくれた
帰ってきたとき少し機嫌が悪いように見えたから何かしちゃったのかなって思ってたけど、いつの間にかいつもの優しい青峰君に戻っててあれは気のせいだったのかなって思いながら鍛え上げられた硬い胸板に頭を預けて目を閉じた
んだけど…
ピーンポーン
ピーンポーン
ピーンポーン
何⁉
こんな時間に誰⁉
しかもこれドアのインターホンだ…
何度もなるチャイムにさすがに体を起こすと青峰君も起き上がってスタンドにライトを点けてくれた。
「俺が行くからここにいろ」
青峰君が部屋を出ると同時にママの部屋も開いた音がして大我の足音も聞こえた。