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最愛 【黒子のバスケ】

第14章 黒須みさき16歳


それからパットもママも何度も病院に来てくれて、少しづつだけど私も頑張ろうって気持ちが芽生えた。

『タイガからこれ預かって来てるのよ』

そう言ってBOSSが渡してくれたのは、私の名前の入ったメイクブラシでいつも使ってるところのだった

手入れをして乾かしてることはあったけどちゃんと見ててくれたんだ…

メッセージカードが添えられてて、あんまり綺麗じゃない大我の字でメッセージが書かれてた

『そばにいてやれなくてごめん。バスケばっかしててごめん。でもお前にはすげぇ感謝してる』


感謝してるのはあたしの方だよ…
バスケばっかりしてていいんだよ。そのためにずっと頑張ってきたんだから
あたしの為に自分の事を二の次にしないで。



もう一回、頑張ってみる

たくさんの人の時間と優しい言葉をもらって、あたしはもう一度頑張ろうと思えた。

それからは少しづつご飯を食べて、ゆっくり体を元に戻して、玲子先生のカウンセリングを受けながら筋肉の落ち切った体のリハビリをして、メイクの勉強をしながら4か月の入院と療養をして、LAに戻って仕事を再開した。


もう二度と折れない為に、まずは体を少しでも強くしたかったからヨガとトレーニングに通い始めた。
先生はスパルタだったけど、そのおかげでコンプレックスとの向き合い方も少しずつ落としどころを見つけていかれた


メイクも半年も離れてしまって、その時間を取り戻すことはできないけど、やっぱりメイクが好きだってことを再認識した


どんな時でも、どんな状況でもクライアントを100%仕上げる

これだけを思ってメイクの練習と仕事を必死にやった。

22になった時、BOSSがあたしのメイクブックを出すって言ってくれて、自分でモデルを選んだりメイクを考えたり毎日寝る時間もないほどハードだったけど楽しかった
自分はこの為に生きてるんだって実感できた


そして、その本が日本の編集者の目に留まって日本向けにアレンジして出版したいって話を持ち掛けてくれた

パットから離れるのは不安だったけど、ここでもパットはあたしの背中を押してくれた


『日本でその才能を見せつけてきなさい。まずは日本でトップを取ってらっしゃい』


仕事は頑張れたし、さつきと美緒がいてくれたからプライベートも充実してた

でも恋愛だけは……



ずっとずっとできなかった
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