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最愛 【黒子のバスケ】

第15章 初恋


side緑間

みさきに頼まれる前、火神が試合をすっぽかしたことは日本でも当然報道された。


「火神、試合をすっぽかしたことがみさきに知れたら、みさきがどう思うか考えないのか?」

「そもそもあいつがこうなったのはあんとき俺が一緒に帰らなかったからだ。もう同じことは繰り返さねぇ。バスケはNBAじゃなくてもできる。俺は戻らねぇ」

火神はこのままNBAをやめてみさきのそばにいるつもりだということは誰の目にも明らかだった。

火神と連絡が取れていないということで、ワイドショーでも毎日のように報道された。

火神が決めたことならば口出しするつもりはなかったが、たまたま通ったところでみさきにそれが知れてしまった。


そしてみさきは俺に火神を戻すように頼みこんできた。


「火神、やはりお前はシカゴに戻るべきだ」

「戻らねぇ。みさきが死んじまいそうな時にバスケなんてしてられねぇ」

その気持ちは痛いほどわかった。
みさきは、火神に毎日説得されて1口2口程度なら食べ物を口にするが、自分から食べることはなかった。
みさきは火神としか話さず火神としか目線を合わせなかった。
火神がシカゴに行けばみさきは死んでしまいそうな危うさがあった。

「死なせない。何としても死なせたりしない。だからお前は戻れ」

「戻れねぇ」

「みさきはお前が試合をすっぽかしたことを知って、自分のせいだと言っていた。お前からバスケを取り上げた自分が山本と同じだと言っていた。お前が戻らなければその重荷を一生みさきに背負わせる事になる。そんなこと望んでいないだろう。…俺が毎日みさきを見る。だからお前は戻れ」


「…ちょっと、考えさせてくれ」

みさきから言われた言葉をそのまま伝えただけだったが効果はあったようで火神は戻ることを決めた。

「俺はみさきに何もしてやれねぇ。あんな目に遭わせておきながら俺は..一緒にいてやることも、元気にしてやることも、何もできねぇ…」

火神はあの時のことを相当後悔しているのか、苦しそうに手を握り締めて泣いていた。

火神が涙を見せるのはいつもみさき絡みだった。

「お前がNBAで活躍するところを見せればみさきも頑張れると思うのだよ」


それから火神はレギュラーに復帰すべくシカゴに戻って行った
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