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最愛 【黒子のバスケ】

第15章 初恋


side火神

シカゴに行ったばっかの頃はやっぱすげぇ心配だった。
けど本格的にNBAに入ってパットの言った通り自分の世話でいっぱいいっぱいだった。

多分みさきを連れてきてもマジで家に閉じ込めておくだけになっちまってた。


「なるほどな。で、今その選択は正しかったって思えるか?」

「あぁ。みさきが今メイクとしてちゃんとやってけてるとこを見たらパットが正しかったって認めざるを得ねぇ」

「みさきが20でボロボロになった時、一緒にいなかったこと後悔しなかったか?」

「あれは俺といても避けられねぇことだった。最初どうしてそうなったのか誰も分からなかった」

あの時パットに送ってもらって自宅に戻ったみさきが少し変だってことはおばさんから連絡が来てた。
そしてその日パットとも話したけど原因は分からなくて、突然表情がなくなったってパットが言ってたことも教えてくれた。


心配でみさきに何度かメッセージを入れたり電話をしたりしたけど繋がらなくて、耐えきれずにおばさんに連絡を入れたら、何も食べず眠らず、ずっと無気力で、誰の言葉にも反応せずに、たまにうたたねして泣きながら俺の名前を呼んでるってことをおばさんが教えてくれた。

それを聞いてバスケしてる場合じゃねぇって思って、チームにも言わず練習も試合もすっぽかしてみさきのところに行った。


元々細かったけどそん時はもうガリガリだった。

ソファで寝てるみさきを抱き上げてベッドに運んだ時、あまりの軽さに一瞬肩が外れたのかと錯覚する程だった。

一人にしておけなかった。

「おばさんにもバスケは休みもらったって嘘ついて、自分の親父には何にも言わずに日本に行っちまったから、毎日そこら中からすげぇ電話きてた」


「お前のとこの監督から俺にも電話きて、俺もお前に電話したわ」

そうだった。
俺が試合すっぽかして連絡取れねぇってなったせいかいつも電話なんてしてこねぇ青峰が何回か電話をくれてた。


「出たら連れ戻されるって思ったんだよ。だからどの電話も出なかった。みさきに言われても戻る気になれなかった」


「もし…さつきがみさきの立場だったら俺も同じことしただろうな」

だろうな。青峰は口ではなんだかんだ文句言いながらも桃井のことは大事にしてたしな。


「けど、緑間に言われて戻ったんだろ?何言われたんだよ」
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