第17章 私の癖
『じゃあどうして私に髪の毛を渡すの?』
長い沈黙が訪れる。
重い口をやっと開いたかと思えば告げられた言葉は衝撃的だった。
轟「体内に俺を取り込んで欲しいんだ。」
貴/爆『「………………は?」』
満場一致で思う。
何を言ってるんだこいつは。
あの勝己でさえぽかんとしている。
『あの………どういう理由からそうなったのか聞いても?』
轟「あぁ。俺に依存して欲しくてな。」
爆「だからそれとどう関係あるか説明しろっつってんだよ!!!」
脈絡の無い会話に痺れを切らしたのかとうとうキレ出す始末。
だが今回ばかしは勝己に賛同したい。
私に依存して欲しいのは分かった。
それについての意見はさておきどうしてそこから体内に焦凍を取り込むという話になるのか。
…………いや、理解出来ない。
『勝己、座って。』
焦凍に掴みかかっていた彼は舌打ちをして大人しく隣に座る。
場が落ち着いたところでもう一度質疑応答を始めた。
『私が焦凍に依存してほしいの?』
轟「あぁそうだ。」
『だから切った爪や抜けた髪を私に寄越してたの?』
轟「あぁ。」
『それと依存の何が関係あるの?』
轟「俺のDNAを体内に取り込めば依存するかと思った。」
『それ!!そこだよ!何でそう思った?』
轟「アルコール依存症、薬物依存症。依存って付くもんは全部体内に取り込んで
るだろ?」
ドヤ顔で説明する彼の眼は幼子のようにキラキラと輝いていた。
冷静さを欠かせる程には。
『言われてみればそうだし理屈は通ってるかも?』
爆「頼むからお前までツッコミを放棄すんな。」
轟「俺は事実を言っただけだ。おかしいことは言ってない。」