第16章 俺の癖
轟「から俺を求めるようにするにはどうしたらいい?」
え?え?と困惑した表情を浮かべながら徐々に顔を赤くする。
何をそんなに恥ずかしいことがあるんだ。
緑「え、えっと、求めるっていうのは………そのぉ…。」
轟「連絡取りたいとか会いたいとか、だな。俺にだけ我儘になって欲しい。」
緑「あ、そっちね。安心したよ。」
轟「何がだ?」
顎に手を当て俯きながら器用に歩く緑谷は押し黙っていた。
普段の帰宅中には見ることのない夕焼け空を一匹のカラスが寂しげに横切った。
なんだかそれが名残惜しい気がして目で追っていると隣で急にあ!と声が上がる。
緑「轟君から連絡するのを止めたらどうかな?そしたら不思議に思ったちゃんが自分から連絡してくるんじゃない?」
轟「それは一時的なもんだろ?俺は未来永劫そうであって欲しい。俺が隣に居ないと不安に思って欲しい。」
緑「つまりは依存して欲しいんだね。」
そうか、依存か。
俺はに依存して欲しいのか。
俺が側に居ないと落ち着かない、何をしていても俺を思い出して俺に会いたくなる。
まるで禁断症状のような。
そんな想いを彼女にもして欲しいんだ。
轟「つまりはに俺の血液を飲ませ続ければいいのか?」
緑「どうしてそうなったの!!?」
轟「アルコール依存も薬物依存も体内に取り入れるだろ?」
緑「えぇっと、人と人の場合は必要ないと思うよ。」
轟「そうなのか……。」
緑谷が言うってことは間違いない。
何か別の方法を考えるか。
気付けば目の前にあった寮の門。
この話は終いだ、と閉ざされたように感じる。
親身に話を聞いてくれた緑谷に礼を言えば彼は擽ったそうにしていた。
もうしばらく俺の癖は治らないだろう。
END